I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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マイクロソフトは最近、画像、音声データ、ソーシャルネットワーク、メール、手紙などのデータを基に「特定の人物の対話チャットボット」をつくる方法の特許を取得した。ボットにはその人物の2Dまたは3Dモデルが組み合わされる可能性もある。メディアはどういうわけだか、これを「死者と話をする」試みだとこぞって伝えた。

特許で説明されている「特定の人物」の幅はもっと広く、「過去や現在の人物(あるいはその変形版)」であり、例として友人や家族、著名人、架空の人物、歴史上の人物、あるいは「ランダムな人物」が挙げられている。

この手の話は過去にも話題となった。2016年には、ロシアのチャットボット専門家で人工知能(AI)関連のスタートアップ、レプリカ(Replika)の共同創業者であるユーゲニア・クイダが、ひき逃げ事件で亡くなった友人の起業家ロマン・マズレンコを膨大なインスタントメッセージ履歴を使って「再構築」しようと試みた。またこれより先には、ネットフリックスのドラマ『ブラック・ミラー』の有名なエピソード「ずっと側にいて」で、人が生きている間に残したデジタルデータを使って死者のロボットを作ることが描かれた。

愛する人の「デジタルゴースト」を作り、亡くなった人と「再会」することで、認めたくない死を直視できるかもしれない。こうしたチャットボットは、故人の言い回しや、文章のスタイル、あるいは身振りさえも再現できる。クイダによる実験のように、突然訪れる身近な人の死を受け入れる助けとなるかもしれない。

しかしマイクロソフトの構想はこうした“デジタル版霊媒”よりもずっと幅広く、アルゴリズムが収集できる人々の個性を概念化し、それを訓練可能なチャットボットに応用することだ。訓練を行うのは、再現対象となる本人でもよい。このアイデアがどのように応用されるかはわからないが、生死にかかわらず特定の人物の言動から学習したデジタルアバターとやり取りできるようになる日はいずれ来るだろう。ビジネスとリーダーシップの観点から見てば、さまざまな可能性があることは間違いない。興味を掻き立てられるアイデアだ。

編集=遠藤宗生

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