米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は米CNNテレビが開いたオンライン討論会で、「現在は国内外問わず旅行に適した時期ではないことを強調したい」と指摘。国内便などで長距離移動をする人に対する検査を増やすべきだと主張した。
討論会は視聴者が参加するタウンホール形式で行われた。ある女性は、ワクチンの2回目接種を終えた後、どれくらい時間がたてば安全に旅ができるかと質問。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は「予防接種を受ければ自由に移動してもよいというわけではない。また、私たちが常日頃言及しているさまざまな公衆衛生上の措置に従わなくてもよいというわけでもない」と回答した。
ファウチ博士によると、免疫が最大になるのは2回目の接種から10日~2週間たった後だが、2回目の接種を終えた後でも必ずしも自由に動いてよいわけではないという。「ワレンスキー博士が述べたような状況は変わらない。移動は良い考えとは言えない。それに尽きる」
ファウチ博士は、2度目のワクチン接種を受けた後でもマスクを着用することが重要な理由として、ワクチン試験の主な目的は顕性感染(症状を伴う感染)の有無を調べることだったと説明。「もしかしたら症状は出ないものの感染し、鼻咽頭にウイルスを持っているかもしれない」と指摘した。
つまり、接種を受けた人でも、ウイルス保有量が非常に少ない状態で感染するかもしれないということだ。「他者を感染させないようにするため、またあなた自身も完全に安全だとは限らないことから、マスクを着用する必要がある」とファウチ博士は説明している。
ファウチ博士は、予防接種を受ければ感染拡大を防げるのかどうかについて「確実には分かっていない」と述べ、米政府が今後、無症状感染者の中でのワクチン接種者と未接種者の間のウイルス水準を比較する調査を計画していると説明した。