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Forbes JAPAN Web編集部

バイデン政権は分断を修復できるのか(Getty Images)

1月20日に発足したバイデン新政権。新型コロナ対策、経済復興、気候変動、人種差別問題を4つの柱に据え、就任初日から10本以上の大統領令に署名するなど意欲的に、前トランプ政権の「アメリカ第一主義」からの転換を図ろうとしている。

就任演説では、国民に向けて「Unity(結束)」という言葉を何度も用いて、社会の分断の修復を強く呼びかけた。アメリカは国内の分断を修復し、再び世界をリードする存在となれるのか。 大学院大学至善館教授で社会学者の橋爪大三郎に、新政権に求められる姿勢を聞いた。

「我慢と忍耐」の4年間


ずばり、新政権に求められることとは──。橋爪に尋ねると、こう答えた。

「社会をこれ以上荒れないようにすること。現実を見つめ、困難があろうと世界と連帯して頑張って行きましょうという姿勢、これしかないです。我慢と忍耐の時ですね。アメリカの人々がそれに耐えられるかどうか、それはわからない」

「アメリカ・ファースト」を掲げ、国際社会との連帯を拒んだトランプ政権。しかしこれまで絶対的な優位を誇っていたアメリカ経済は、他国と協調することなしには成り立たないところまで追い込まれている。

「第三世界の苦しい生活を踏み台に、うまい汁を吸うことができていたアメリカのやり方はもう終わりです。そうした人々と同じ土俵で競争しましょうという時代にもうなっているから」

国内のさまざまな局面での分断も大きな課題だ。新型コロナ禍による格差の拡大は、ひと握りの富裕層と労働者大衆の分断を顕著にした。

新型コロナの影響で失業率が一時14.8%と過去最悪となったことを受け、アメリカでは昨年3月には現金1200ドル、12月には600ドルを給付。バイデン政権も3回目の現金給付を行なう予定だという。ベーシックインカムによく似た手法でコロナ禍に苦しむ人々の生活支援を行なっているが、財政の面からも長く続けられない政策なのは明らかだ。

セーフティネットを整備し、ベーシックインカムにあたる保障を早急に手当しなくてはならない。しかしこうした政策をアメリカで推し進めることは簡単ではない。

「困っている人、働けない人、ハンディがある人を社会で保護するために、税金を中産階級や富裕層から集めます。社会福祉です。でもそれは社会主義じゃないかと、アメリカには反対の声が多い。分断そのものです。そんなのやりたくないと言って共和党やトランプのような候補者を支持してしまう。

その流れにストップをかけ、『ちゃんと社会に貢献すれば報われて、誰もがプライドをもって生きていける社会にします。お金持ちはちょっと静かにしててください』という雰囲気にして、中産階級の支持が得られれば、政権は安定する。だからバイデンはそのうまいやり方を考えなくてはならない」

格差が拡大したのは、1980年代から推し進められてきた「新自由主義」によるところも大きいという。福祉を後回しに減税を進め、規制を緩和し経済の活発化をはかる政策は、労働分配率を下げ、中産階級以下の人々の生活を圧迫した。

橋爪は新自由主義について「かなり間違っていたと思う」と評価する。

文=河村優

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