一人の建築家の集大成「目玉ハウス」が売却へ その規格外な全容とは

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ユニークな建築物を見ると心が躍り、「中はどんな風になっているんだろう」、「こんな家に一度は住んでみたい」と夢見た経験のある人は多いだろう。

だが今回紹介する家は、「ユニーク」という言葉だけでは表しきれないほど、規格外な見た目をしている。そして外観だけでなく、その室内も、われわれの想像をはるかに超えるものだった。


NASAの助言を得て採り入れたデザインも


夢があって、ユニークな構造の家が売りに出されることはめったにない。しかも、この物件は、11個の「目玉」がつながった家なのだ。

建築家のグラハム・バーチャルは、この家を自分の住居として建設した。建てた当初は売りに出すつもりはなかったが、現在、オーストラリアのクイーンズランド州イプスウィッチで買い手を探している。

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この家は1980年代に、球体構造の適応性と実用性を示す事例として建てられた。一般的な家屋とは違って、部屋の広さは直径で示され、各部屋の広さは直径4~8メートルとさまざまだ。

部屋の中にいても、外観を見ても、この家の独創的な丸みは、これまで抱いたことのない不思議な感覚を与える。丸いドームには、リモートコントロール可能な虹彩型の窓が付いており、目玉のように見える。眼球の虹彩と同じく、窓の開口を絞ったり、開いたりできるのだ。バーチャル氏は、構造とディテールにとことんこだわり、NASAの助言を得て火星探査機ローバーのデザインを採り入れ、このユニークな窓を作り上げた。

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奇抜で人の目を引く家。初めてこの家を見た人は誰しも目を奪われ、建築の面白さに心を躍らせるだろう。

日々を過ごす家としての機能は?


この家の最も素晴らしい点は、球体であっても、日々を過ごす家としての機能に何の不都合も生じていないことだ。屋内の空間には十分なゆとりがあり、寝室が3つ、バスルーム2つ、作業スペース、さらに4台駐車できるガレージまで備えている。バーチャル氏は、手放すことなどまったく考えず、愛情と遊び心をふんだんに込めてこの家を建てた。そのため、この家には1980年代とは思えないモダンなデザインに溢れ、建築家の美学が貫かれている。

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さまざまな形状と広さのバルコニーやテラスもある。玄関から続くガラスのトンネルを歩けば、その美しいデザインと柔らかい日差しに魅了され、おとぎの国に向かう気分を味わえる。さらに、らせん状の階段、贅沢な書斎、色彩に溢れる庭と、住む人の幸せレベルをぐんと上げる魅力的な構造の数々。ラウンド型キッチンを実現するため、曲線を自由に扱う船大工の卓越した技術も拝借するなど、バーチャル氏はあらゆる面で完璧なドリームハウスを完成するために労を惜しまなかった。彼の心意気をそこかしこで感じることができるだろう。

家族が集う1階の広大なファミリールームには薪ストーブが置かれ、1階も2階も十分に暖かい。上下階をつなぐ大きな孔を突き抜けた長い煙突によって、暖気が行き渡るためだ。ほかにも水冷式の噴水が室内にあり、いずれの冷暖房設備も素晴らしくよく働く。

この家と同等の広さの不動産なら、100万オーストラリアドル前後(※日本円で約8003万円)が相場だ。しかし、この値段はあくまでも一般的な建物の場合。この奇想天外な家はいったいいくらで売れるのか、興味が尽きない。


79 Elanora Way, Karalee

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=上林香織 編集=石井節子

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