私は、旧来の資本主義を再構築する方法をいま模索しているところです。私たちはいま、グローバルな資本主義社会のなかで生きています。しかし、利益創出や競争に偏重した資本主義が今日までの世界の不平等、暴力、差別の基礎を築き、育ててきたと考えています。だからこそ、私たちはポスト資本主義の世界を描き、つくらなければいけません。
近年、私のようなZ世代の社会起業家は増えてきています。私たちの世代では、伝統的な意味での「お金を稼ぐ」「成長・競争」だけではなく、もっと根本的なところで社会問題に取り組もうという姿勢の起業家が非常に多いです。それは、情報伝達の速度がこれまでよりも早いこと、変化をもたらすためのツールやプラットフォームを持っていること、そして、さまざまな社会問題にうんざりしすぎて黙っているという選択肢がないことが理由です。
例えば地球温暖化ひとつをとっても、なんとかこれ以上の悪化を防ぐために何かしらのアクションを起こせるのは私たちが最後の世代でしょう。長い間山積みになった課題を先代たちが放置し続け、私たちの手で変化を起こさなければ、永遠に続いてしまうという事実にへきえきしているのです。
社会を変えたいと思っている人は、当然、上の世代にもたくさんいるでしょう。本当に社会を良くしたい、測定可能な変化を生み出したいと思うのなら、決定権をもつ上の世代がもっと若者たちに機会を与え、メンターシップを与えることが本当に価値あることだと私は思います。
私は、自分の情熱を職業に変えることができたことをとても幸運に感じています。私と同じような情熱をもつ若者たちに機会を与え、共有し、彼ら彼女の意見を拡声させることで、社会は少しずつよくなっていくと、そう信じています。
ナディア・オカモト◎1998年生まれ。「PERIOD.」創業者兼エグゼクティブ・ディレクター。2014年にホームレス女性に生理用品を配る活動を始める。現在はハーバード大学に在学中。