ここ数日、掲示板Redditに集まる個人投資家たちが大手ゲーム小売店「ゲームストップ(GameStop)」の株価を暴騰させ、ヘッジファンドに巨大な打撃をもたらした事件が様々な議論を引き起こしているが、ネットフリックスとMGMがこの物語の映像化に向けて動いている模様だ。
先週、筆者はゲームストップの物語を、マイケル・ルイスのノンフィクション作品「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」をベースとした映画「マネー・ショート」の続編として映画化すべきだと、冗談交じりに提案したが、映画業界はすでにその準備を進めていたようだ。
2月1日のDeadlineによると、ネットフリックスはゲームストップの株価急騰の物語の映像化に向けて、イラク戦争を舞台とした2008年の映画「ハート・ロッカー」でオスカーを受賞した脚本家、マーク・ボールと交渉中だという。
一方で、MGMはベン・メズリックが執筆中の小説「アンチ・ソーシャル・ネットワーク」の映像化権を購入し同様のプロジェクトを進めていると報じられた。この作品も、Reddit民たちがウォール街を痛めつける内容だという。
メズリックは映画業界では有名な作家であり、2010年の映画「ソーシャル・ネットワーク」は、彼がフェイスブックの創業の経緯を描いたノンフィクションをベースにしたものだった。さらに、2008年の映画「ラスベガスをぶっつぶせ」も、知的で野心家の若者たちがカジノでの不正行為をマスターする姿を描いた彼の作品を基にしていた。
ゲームストップの物語はまだ結末を迎えていないが、メディア関係者やウォール街のベテラン、一般の人々らは、その背景に様々なストーリーを思い浮かべている。
映画業界はReddit民の味方か?
ある人にとって、この物語はダビデとゴリアテの戦いを思い起こさせるもので、劣勢にあるReddit民らが団結し、ウォール街の大物投資家たちを痛めつけたと解釈している。掲示板の書き込みには、2008年に発生した株価の暴落に言及しているものもあり、ウォール街への復讐を呼びかけている。
しかし、別の人たちは、Reddit民たちが無謀なニヒリストで、金融機関に対して全く敬意を払わない連中だと考えている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)はツイッターで、Redditに集まる素人投資家たちについて、「彼らの原動力はおそらく、退屈と金に対する欲望だ」と評した。
しかし、株式市場と関わりを持たない大多数の人々にとって、この話が非常に滑稽なものであることは確かだ。
ネットフリックスとMGMがこの状況をどのように描くのかを見るのは、とても興味深い。彼らはReddit民の側に立って怒れる民衆を描くのだろうか。それとも、ウォール街の側に立って、市場の安定の重要性を説くのだろうか。
さらに、Reddit民たちのパワーが今度は映画館チェーンAMCの株価を上昇させることにつながるかどうかも、注目すべきポイントになるだろう。