かつての日本のバブルは、景況感も過熱しての不動産や株のバブルであったが、今回景況感自体はゆっくりとした回復ムードで、株式市場とは乖離しており構造が違う。新型コロナウイルスと同様に、時代に応じて変異した2020年型バブル構造である。
前述のロビンフッドが正式にスタートする直前、フランスの経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」が、2014年4月に英訳され話題になった。ピケティは、実証データから「歴史的に資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きい」、つまり「r>g」という不等式で、資産を増やすことのほうが賃金の上昇に勝るということを主唱した。
ピケティの理論によれば、必然的に経済的な格差拡大を生むことになっていて、働くよりも投資のほうが富の蓄積が速く、大きくなるというのだから、金利がゼロになったいまからは、金融・不動産投資などのリスク資産への投資知識を身に付け、資産を増やす努力をせざるを得ない。金融緩和で通貨は増加したが、その価値は下落していくし、インフレ懸念は付きまとうことになる。
これを知ったロビンフッドの利用者である「ロビンフッダー」たちが、このコロナ禍でも、株式などの投資行動に時間を割く気になるのも十分に頷ける。ロビンフッダーの増加は、自宅勤務で、失業給付金をもらいつつも、トレーディングに勤しむ生活スタイルが定着してきているということだろうが、このことが、復職が遅れる一因にもなっている。
「投資の民主化」を叫ぶロビンフッダーたち
ロビンフッドを使って投資をする「ロビンフッダー」たちの多くは、ミレニアル世代に属する。彼らは、証券会社に預けて運用してもらうとか、インデックスを買う従来型のスタイルではなく、お気に入りの個別株を自らネットで調べながら選び、投資も自らの手で行う。インターネットで情報氾濫が進んでいるなかでは、限られた情報を整理して論理的に取捨選択するのではなく、自分の感性に合うものを直感的に選ぶ流れが進む、そんな時代になってきている。
しかも、昨年、投資を始めた若い日本人の友人を見ていると、YouTubeを「教師」として、毎晩日本語でも専門用語や、オプション取引の仕組みやリスクなども学び、瞬く間にかなりのレベルまで知識を吸収しているので驚いた。