ユニコーン企業への就職は妥当か 「時価総額」という観点から考える

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確かに、大企業だと上司と部長を説得し、役員の決済を取り、ようやく予算が降りるなど、企画から実行までに時間がかかるのは事実だ。新入社員のうちは最初の段階の会議に使う資料の素材準備ぐらいしかやらせてもらえず、作業による負担感の割に貢献度が低いように感じるだろう。

一方でベンチャー企業だとインターンの学生や新入社員がプロジェクトの責任者になっているケースもある。

ただ、知識や経験がほとんどない状態ですべてを任されたところで、本当に質の高い仕事ができるのだろうか。最初のうちは、会社に育ててもらうという観点も持つべきだろう。

私自身も新入社員の時はお金をもらいながら勉強させてもらっていたという感覚のほうが強く、ちゃんと会社に還元できたのは、入社して3年ほど経ってからのような気がしている。

学生時代から核心を見抜く訓練を


投資先を探したり、就職先を探したりするために、学生時代から核心を見抜く訓練をしたほうがいい。時価総額が大きいから、人気企業ランキングの上位だから、メディアでよく取り上げられているから、このような表面的な情報だけで判断するのは危険だ。

核心を見抜くためには多少の手間がかかる。実際にその企業が提供している商品やサービスについて詳しくなる必要があるし、競合他社との比較も必要だ。その企業が属する産業や業界の動向も調べるべきだろう。

「勉強もバイトもサークルもあるのに、そんな時間ないですよ」という学生からのリアクションもよく見られるが、自分の人生や資産がかかっている話なのだから、それぐらいの手間はかけてもいいはずだ。

とはいえ、何事も一度決めたら最後、やり直しがきかないわけではない。投資も損切りをすればいいし、就職して失敗したと思えば転職をすればいい。あまり深刻に考える必要はないが、表面的な情報ではなく核心を見抜いて判断することは心がけるほうがいいだろう。

連載:0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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