経済・社会

2021.02.10 08:00

チョコレートは地球を救う? 持続可能な「カカオ栽培」で森林伐採を防げ

カカオが森林伐採の主な原因になっている(Getty Images)


・新しいアグロフォレストリーと保全プログラムのデザインに必要なベースラインデータを揃えるため、政府が優先地域における土地利用および社会経済調査に関するデータの収集を行う
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・保護地域外の農場からカカオが合法的に調達されることを徹底するため、農場のマッピングとトレーサビリティシステムの構築を行う

・断片化した森林保護区を結合して景観ガバナンスシステムを構築するために、熱帯林同盟2020の取り組みと歩調を合わせて新しい景観コリドーを設け、コミュニティベースの景観管理を確立する

・「より少ない農地でより多くのカカオを栽培する」ことを目指し、持続可能な農業集約化に投資する。投資にあたっては、気候変動に対応した生産技術、農民のトレーニング、土地と樹木の保有制度の改革、資金調達手段へのアクセス拡大、アグロフォレストリーの新しいモデルに重点を置く
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・農民と直接締結する。環境保全活動に対する報酬、契約に着手する

・衛星による監視を活用し、ホットスポット地域における違法な森林伐採の追跡と、森林伐採に対する警告発令を行う

「その日に蒔いた種で判断せよ」を胸に


森林伐採を止めることは、社会的、経済的、環境的な問題であり、複雑です。景観アプローチは徐々に広がりをみせていますが、そのデザインと実行は極めて難解です。そのため、ステークホルダー間の十分な信頼構築と、森林伐採の主な要因に対する徹底した理解と分析、複雑な政策と投資行動の調整および順序付けが必要になります。

カカオと森林イニシアチブの取り組みを実行するとき、私達には適応性と柔軟性、そして忍耐強さが求められます。間違いなく失敗もするでしょう。ですから私達は、農民やコミュニティ、現場のその他の地域パートナーとともに学び、活動を続けていくなかでプランとタイミングを調整する必要があります。

「日々の良し悪しは、その日の収穫ではなく、その日蒔いた種で判断せよ」というギニアのことわざがあります。イニシアチブの参加企業と政府は前に進んでいます。この困難で複雑な道のりに、開発パートナーや環境保護団体、その他のステークホルダーが加わることを、私達は願っています。力を合わせて正しい種を蒔き、カカオと森林の持続可能な景観のなかで大切に育てましょう。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Richard Scobey, President, World Cocoa Foundation

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