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2021.02.02 07:00

世界が注目する日本のクラウドスタートアップにコンビニの改革者が参入

アンドパッド上級執行役員CMO 植野大輔

アンドパッド上級執行役員CMO 植野大輔

Forbes JAPAN3月号(1月25日発売)は、日本版「非上場クラウド企業トップ10」を発表した。

コロナ禍にあって、世界中の投資家の資金が日本の良質なクラウド企業に集まり始めており、期待は高まっている。米Forbesのランキング「The Cloud 100」の2020年版も、前年比65%増の100社中87社が評価額1100億円以上のユニコーン企業だ。

今回は日本版ランキング3位でユニコーン企業といわれるアンドパッド(クラウド型建設プロジェクト管理サービス)の経営強化について紹介したい。建設施工の管理アプリは、すでにアメリカの「プロコア」が2020年に、企業評価額50億ドル(約5236億円)になり、売上げは3億ドル(約314億円/2019年)に迫るなど期待が高い。

そうしたなか、アンドパッドは2020年4月にミクシィを大きく事業成長させた荻野泰弘の取締役CFO就任に続き、2021年1月には上級執行役員CMOにローソンやファミリーマートなどの企業変革に取り組んできた植野大輔が就任したことを発表した。植野はForbes JAPANのインタビューにこう語る。

「デジタルで社会課題を解決し、数兆円規模の企業価値を持った企業を日本に生み出す。そんな経営陣の大胆な構想と使命に共感するところが大きく、経営に参加することを決心しました。変革が難しいレガシー産業の社会課題に、デジタル技術で生産性を向上するというレベルを超え、最終的に建築物のクオリティー自体まで高めたいというCEOの稲田武夫の考え方には、DXや組織改革に長らく携わってきた者のひとりとして賛同できる部分が非常に多かったのです」

アンドパッドは、「受発注」「社内タスク管理」「写真・資料管理」「日報」「チャット」「工程表作成」「営業管理」「見積作成」など、建設現場の業務をデジタル化してくれる業界特化の施工管理サービス(アプリ)だ。

これまで電話やFAX、エクセルなど旧来の通信手段や管理ツールに頼り、煩雑かつ多岐にわたる業務に追われていた現場監督、また各現場にとって心強いサービスとなっている。利用社数は6万社、サービスを導入した案件数は430万件を突破している。業界内のユーザー数はおよそ17万人だ。

植野が続ける。「実際、アンドパッドのような施工管理アプリに競合がないわけではない。ただ、徹底的にコミュニケーションに重点を置いたサービスは日本やアジアでは見当たりません。建築・建設という市場規模が大きい割に『DXのホワイトスペース』になっている産業において、カテゴリーリーダーになる潜在力を秘めている。そんなカテゴリーリーダーになれば、日本で新たに数兆円規模の企業が誕生するはずです」

投資家たちの視線も熱い。アンドパッドは2020年10月にシリーズCのエクステンションラウンドをクローズ。投資に参加したのはミネルヴァ・グロース・パートナーズ、セコイアキャピタル・チャイナなど。両投資家にとってアンドパッドは日本の初投資案件となる。累計での調達額は約87億円になる。
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文=河鐘基

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