スペースは1月28日、人類を火星に送り届けるために設計された宇宙船スターシップの最新のプロトタイプSN9の打ち上げ試験を、テキサス州ボカチカで実施する予定だった。同社は12月にSN8の打ち上げに成功し、最高高度12.5kmまで飛行させた後、地球に帰還させたが、着陸には失敗していた。
今回のSN9は、最高高度10kmを目指すほぼ同様の飛行を計画していた。しかし、1月25日の打ち上げは強風のために失敗し、その後の打ち上げも、FAAからの承認が得られず、中止になった。
The Vergeの報道によると、スペースXが打ち上げの直前に予定変更を行ったことで、FAAの審査が終わらず、打ち上げが延期されたという。スペースXはSN9を発射台に乗せ、燃料の注入まで行っていた。これは同社が最後の瞬間まで、FAAの承認を待っていたからだと考えられる。
FAAが打ち上げを延期させたことについて、マスクは「航空機部門とは異なり、FAAの宇宙部門は根本的に壊れた規制構造を持っている」とツイートした。「彼らのルールは、一握りの使い捨ての機体を、少数の政府の施設から打ち上げるために定められている。このルールの下では、人類が火星に到達することはないだろう」
しかし、The Vergeのジョーイ・ルーレットのレポートによると、承認されなかった理由の一つは、12月のSN8が着陸時に爆発を起こし、これがFAAの基準に違反していたことにあるという。「スペースXが具体的にどのような違反を犯したかは定かではないが、着陸時の爆発に加えて、同社はFAAが定める規則の遵守を拒否していた」と彼は指摘した。
FAAは声明で、「我々は、商業的な宇宙開発を促進することの重要性を認識しているが、公共の安全を守る責任を妥協するつもりはない。我々は、スペースXが規制要件を遵守するために必要なステップを踏んだことを確認した場合にのみ、変更を承認する」と述べた。
一部では、この件でマスクに味方する専門家もいる。カリフォルニア州本拠の宇宙関連のスタートアップMasten Space SystemsのCTOであるDavid Mastenは、ツイッターで「FAAの規制はナンセンスだ」と述べた。「規制は必ずしも悪いことではないが、一部の規制が現状に則していない場合もあり、実際には安全性の向上の妨げになることもある」