・パンデミック(世界的大流行)の影響で、開発途上国の医療システムはさらに脆弱になっています。
・新たな調査報告は、約束された国際的な支援資金額と、その実際の拠出額との差が広がっていることを示唆しています。
・支援金が不足すると、開発途上国の新型コロナウイルス感染拡大抑制を目指す取り組みが阻害されます。
・結果的に、開発途上国にとどまらず、世界中に悪影響を及ぼしかねません。
大半の低中所得国にとって、世界からの財政支援は医療保障制度の重要な資金源です。そして、開発途上国は、人々の生活機能を維持するために国外からの支援に大きく依存しています。国連によると、世界の約70カ国が支援依存国とされています。例えば、南スーダン、ツバル、リベリアなどの国では、国外からの資金調達額がGDPの50%超を占めています。
国外からの財政支援は、教育を改善し、社会的結束を強化。エボラ出血熱、ジカ熱、コレラなど感染症のアウトブレイクによる影響を軽減するため、レジリエントな医療保障制度の構築に役立っています。
新型コロナウイルス感染が世界的に拡大する中、乏しい医療保障制度はますます脆弱化しており、低中所得国は、パンデミックを克服するための早急な支援を必要としています。過去における世界的なパンデミックから、効果的な対応に失敗すると、経済や医療に壊滅的な結果を招くことを私たちは学んできました。果たして、今回のパンデミックの中、低中所得国は必要な支援を得られたのでしょうか。
その調査をするため、米ジョージタウン大学グローバル公衆衛生および安全保障センターとタラス・アナリティクス社は、世界健康安全保障追跡サイト(GHSTS)を立ち上げ、世界の医療保障に関連する財政支援の流れを追跡しました。