アフリカが望む、アフリカの未来
AfCFTAは、2018年に設立されたアフリカ大陸の自由貿易圏。その主な目的としては、アフリカのモノ・サービスに対する単一市場の形成、自由市場の形成、人と資本の移動の促進への貢献、そしてそれに伴う各国の経済競争力の強化や産業発展の促進などが挙げられている。アフリカ市場統合の実現は、13億人・3.4兆ドル市場というWTO結成以来最大の自由貿易圏の形成を意味する。
アフリカ開発銀行によると、Covid-19前のデータで、アフリカ各国の貿易の8-9割がアフリカ外との貿易で、アフリカ域内の貿易は平均で15%程度であった。AfCFTAの形成により、アフリカ域内の貿易促進と各国のさらなる経済活性化が期待されている。運用が開始された現在、協定にはエリトリアを除くすべてのアフリカ連合(AU)メンバー国が署名し、34カ国が批准している。
1月1日、AfCFTA開始にあたってウェビナー形式の式典が行われ、AfCFTAのワムケレ・メネ事務局長、ムーサ・ファキAU委員会委員長、ニジェールのイスフ・マハマドゥ大統領、ガーナのナナ・アクフォ=アド大統領、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領がそれぞれ声明を発表。AUの長期ビジョン「アジェンダ2063」のテーマである「The Africa We Want(われわれの望むアフリカ)」を意識したメッセージが送られた。
メネ事務局長は、Covid-19でさらに明るみになったアフリカの対外依存の状況を指摘。コモディティ供給に偏り、自国で付加価値の高いプロダクトを生みだすことができないまま、世界のサプライチェーンに依存している経済構造からの脱却の必要性を説いた。AfCFTA協定という新しいルールのもとでの貿易が、実際に「今日からスタートする」と宣言し、アフリカが新しい一歩を踏み出したのだ強調した。
別途行ったプレス向けの発表においても、メネ事務局長は、アフリカ外の国でAfCFTA協定の運用開始に否定的・批判的な声が上がっている点に触れ、AfCFTAは対外的なものではなく、アフリカのための政策だと主張。さらなる貿易交渉やインフラ整備の必要性を認識しつつ、まずはスタートさせるという姿勢を見せた。
ファキAU委員会委員長によると、1月1日時点で、タリフライン(関税分類品目)の81%以上の品目について関税撤廃に向けた交渉が完了しており、残りは7月末までに交渉を完了させる予定だという。