アップルがFBに宣戦布告のプライバシー論争、訴訟に発展の可能性

Apple

アップルが、iOS 14で新たなプライバシーポリシーを導入することは、昨年の夏頃から知られていたが、同社は先日、全てのアプリに対しプライバシーに関する詳細情報の表示(Privacy Nutrition Labels)を義務づけ、既に大半のアプリがこれに従っている。

アップルはさらに、iOSの次のアップデートで、アプリの透明性を高めるポリシーのATT(App Tracking Transparency)を導入しようとしている。アップルの広告識別子であるIDFAをターゲティング広告に用いるアプリは今後、事前にユーザーの同意を求めない限りトラッキングが出来なくなる。

このポリシーが、フェイスブックに打撃を与えることは確実だ。アップルは1月27日に開示したプレスリリース(Data Privacy Day at Apple: Improving transparency and empowering users)で、「透明性を高めユーザーの権利を守る施策」として、このポリシーの導入をアナウンスした。

アップルはその文章の中で、フェイスブックを名指しで非難しなかったが、導入事例として紹介したスクリーンショットの画面には、はっきりとフェイスブックの名が刻まれている。そこには「Allow Facebook to track your activity across other companies’ apps and websites?(フェイスブックが、他の企業のアプリやサイトにまたがるあなたの行動を追跡することを許可しますか?)」と書かれている。

これはもちろん偶然ではない。昨年12月、フェイスブックはニューヨーク・タイムズなどの大手紙に広告を出し、アップルのポリシー変更が、中小企業のパーソナライズ広告を制限し、彼らにダメージを与えると大々的に批判していた。アップルがフェイスブックを敵視していることは明らかだ。

もちろん、アップルの広告規約変更は、フェイスブックやグーグルだけに打撃を与えるものではない。アップルは、企業や広告主らがどのような個人データにアクセス可能にするかの決定権を、ユーザー自身に持たせようとしており、現代のデジタル経済に参加する企業の多くが、同社の規約変更の影響を受けることになる。しかし、現実問題として、この規約変更に対処するために企業は、莫大なコストを支払うことになる。
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編集=上田裕資

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