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フォーブス ジャパン編集部 編集者


注目は「インダストリーSaaS」「SaaSのためのSaaS」

──セールスフォース・ベンチャーズ日本代表 浅田賢

日本のクラウド・スタートアップ、特にB2BSaaS領域は、投資家も増え、盛り上がっている。コンシューマー向け事業に投資をしていたVCの中には、リポジションングで、DX(デジタルトランスフォーメーション)、B2BSaaSへ投資領域をシフトしたところも増えた。

米国における当社の投資先で、注目を集めたのはデータ保管・分析のSnowflakeによるIPOだ。ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイと同時に、未上場時に追加投資もした企業だが、20年9月の上場初日の時価総額は704億ドル(約7兆8070億円)。こうした規模感の大きな米国市場は、日本市場を比べると、VCプレイ、ゲームのステージが違う。

米国における20年の投資先は、1. セキュリティ領域、2. セールスフォースの基盤上でのサービス領域、3. セールスフォースの開発・運用サービス、4. DX、バーチャルという文脈が挙げられる。日米比較をすると、SaaS市場のステージの違いがはっきりわかる。日本では、アプリケーションのSaaSが主流だが、米国はその先にある、アプリケーションのもう1つ下の階層でのサービス、また「SaaSのためのSaaS」の動きが目立つ。

今後、日本における注目領域のひとつは、当社視点になるが、米国で20年に上場した、クラウドを活用した銀行システム専業の米nCino(エヌシーノ)のように、セールスフォース上でバーティカルSaaSを展開するスタートアップを日本でも支援したい。その他には、投資先の、建設業向け施工管理アプリのアンドパッドや調剤薬局向けシステムを手がけるカケハシのような「インダストリーSaaS」。そして、米国トレンドにもあげたが「SaaSのためのSaaS」。

最後に、アプリケーション層の下の階層の領域にも期待したい。(英半導体大手のアームに買収された、データ分析の)トレジャーデータの事例もあるので、日本発でグローバル展開できるのは同領域だ。投資先のソフトウェア検証作業を自動化するオーティファイなどが該当する。

一過性でなく100年続くSaaSトレンド

──ALL STAR SAAS FUND 前田ヒロ

2020年のクラウド、SaaS市場における大きな変化は、コロナを契機としたDXの流行。その象徴的な数値が、クラウド浸透率の上方修正だろう。米国におけるデータを見ると、コロナ禍で、2年分の浸透率を2カ月で実現した。浸透率の予測値は、20年の12%から14%へ、21年は14%から17%、22年は16%から20%、23年は17%から22%と上方修正された。

日本でも、肌感覚として同様だ。大企業にDX推進部が生まれたり、DXを推進したいのでいい会社を紹介してほしいという話が増えた。実際に、SaaS業界全体的に普及も売り上げも伸びている。その動きが株価にも影響されている。米国ではZoom、日本でもfreeeなどの株価高騰が顕著な事例だろう。

コロナ禍でも、強いビジネスで需要が高いことがわかりやすく出てきているため、海外投資家によるSaaS、クラウド企業に注目している流れが、日本も例外ではなく訪れている。20年に起きた、セコイア・チャイナによるアンドパッドへの投資といった海外投資家からの日本のSaaS、クラウド企業への注目度の高さがうかがえる。こうした背景から、日本の同領域が「成長の第2フェーズ」に入ったと思っている。

文=山本智之

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