トランプ弾劾、有罪評決は見込み薄か 上院共和党は反対多数

Photo by Bill O'Leary/The Washington Post via Getty Images

米議会上院は1月26日、ドナルド・トランプ前大統領の2度目の弾劾裁判の停止を求める動議の採決を行い、反対多数で否決した。弾劾裁判について民主・共和両党の指導部はすでに、2月9日に審理を開始することで合意している。

共和党のランド・ポール議員(ケンタッキー州)が提出、否決された動議には、共和党の上院院内総務ミッチ・マコネル(同州)が賛成票を投じた。これが意味するのは、弾劾裁判でトランプに有罪評決を下したい民主党が、必要な数の票を獲得できない可能性が高いということだ。

上院共和党のトップであるマコネル院内総務は今月初め、「暴動を扇動した」としてトランプ前大統領を非難する発言をしており、トランプの弾劾を支持しているとみられていた。

上院が弾劾裁判でトランプを有罪とするには、全民主党議員(50人)に加え、共和党員議員17人の賛同を得る必要がある。議員の3分の2の賛成によってトランプに有罪評決が下されれば、上院はその後、単純過半数の賛成により、トランプが公職に立候補する資格をはく奪することができる。民主党が最終的に目指しているのは、その実現だ。

ポール議員が提出した動議に反対したのは、全民主党議員のほか、共和党のミット・ロムニー(ユタ州)、ベン・サス(ネブラスカ州)、スーザン・コリンズ(メイン州)、リサ・マカウスキー(アラスカ州)、パット・トゥーミー(ペンシルベニア州)の5人の議員。

弾劾裁判は「違憲」か?


ポール議員は動議の提出にあたり、弾劾裁判は「ごまかし」であり「違憲だ」と指摘。私人の弾劾は違法であり、本質的に私権の剥奪にあたると主張していた。

だが、民主党のチャック・シューマー上院院内総務は同議員の主張について、「完全な誤り」であることが法学者らによって証明されていると反発。「上院は前大統領の裁判を行い、上院議員たちは前大統領の行動について判断を下すことになる」と明言した。

「反トランプ」には命の危険も?


下院では共和党ナンバー3のリズ・チェイニー議員を含む10人の共和党議員が、トランプ前大統領の弾劾に賛成した。

これを受け、共和党議員の一部からは、チェイニー議員の辞職、または下院共和党会議の議長からの解任を求める声があがっている。また、ピーター・メイジャー議員(ミシガン州)は賛成したことで「命の危険を感じており、防弾チョッキの購入を考えている」ことを明らかにしている。

さらに、マコネル院内総務は一部の共和党議員から、「現在の立場が脅かされることになる」と忠告を受けている。リンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州)はFoxニュースのインタビューで、院内総務が「トランプは暴動を扇動した」と非難したことは間違いだと発言。「党内から前大統領を“消そう”とする共和党員はすべて、自らを“消すことになる”」と警告している。

ニュージャージー州にあるモンマス大学が米国の成人809人を対象に実施、25日に発表した電話調査の結果によると、トランプには「有罪評決が下されるべきだ」と答えた人は52%だった。トランプから公職資格をはく奪することについては、57%が賛成、41%が反対している。

文=Jack Brewster、Andrew Solender

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