──ホテルそれぞれの個性と、会社としての統一性のバランスはどのように考えていらっしゃいますか?
表面的なトーン&マナーのコントロールは私が担っていますが、ホテルごとの個性は働いているメンバーが作り出すものです。
やはり先ほどの「言語化」と「視覚化」のプロセスを経て一緒に作り上げているからこそ、自然と会社としての統一感は維持しながらも、ホテルの個性を立たせることができているのだと思っています。
「バイブス」徹底重視の採用
──創業からわずか4年で全国5軒のホテル、社員30名、アルバイトやパートを含めると50人以上の組織へと急成長されています。組織づくりにおいて意識されていることをお聞かせください。
私は「バイブス採用」と言っているほど、価値観や文化にフィットする人材を採用することを徹底しています。どんなにスペックが高くて、喉から手が出るほど欲しいスキルを持っている人でも、その人が会社の文化を薄めてしまうような人だったらいない方がいいと思っているのです。
加えて、「批評家にならない」という社内ルールを徹底しています。
もし嫌なことがあるなら、それは正しい形で相手に伝えるか、課題として解決できるようにもっていくようルールを決めて、徹底しています。
おかげで人数が増えても文化が薄れず、メンバーが働きやすい環境が作れているのかなと思います。
──採用の質とスピードの両立に関してはどう考えていますか?
当社の場合、通常業務ではスピード感を相当重視しております。
一方、採用においては、質を最優先し、スピードはさほど求めていません。
そもそもホテル市場は供給過多と言われる市場なので、思慮浅く、質の低いものを焦ってたくさん作る意味はありません。
ですので、HOTEL SHE, を100軒つくる、などというイメージは持っていません。それぞれの地域でしっかり影響力のあるホテルを、着実に作っていきたいと思っています。そのため、質を優先した採用を行っています。
龍崎翔子◎1996年生まれ/東京大学在学中の2015年にL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を実母と二人で設立し、取締役・ホテルプロデューサーに就任。15年に「petit-hotel #MELON(北海道・富良野)」、16年に「HOTEL SHE, KYOTO」、17年に「HOTEL SHE, OSAKA」を開業。「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」「HOTEL KUMOI(北海道・層雲峡)」の運営も手がける。
連載:起業家たちの「頭の中」
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