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2021.02.10

パナソニックが新規事業創出の可能性を広げた5年の軌跡。ゲームチェンジャー・カタパルトがもたらす社会課題解決への道筋

老舗メーカー・パナソニックは「未来のカデン」創出へ向けて5年前に先手を打っていた。その施策こそが、社員の企業内起業を強力にアクセラレートする新規事業創出プラットフォーム、ゲームチェンジャー・カタパルト(以下、GCカタパルト)の立ち上げだった。

その先見の明は、5年経った今どのように花開いているのか。GCカタパルト代表・深田昌則(以下、深田)と、事業総括・真鍋 馨(以下、真鍋)、プランニングリード・杉山 覚(以下、杉山)の3名に話を聞いた。

エンドユーザーの暮らしの悩みが、社会課題になる


「世相とは、人々の困りごとの集まりなのです」と、深田は指摘する。

明るく豊かな暮らしを求める人々のために工事不要で誰でも気軽に交換できる電球ソケットを考案した松下幸之助が、1918年に創業したのが松下電気器具製作所(現・パナソニック)である。以来同社は、家事の手間が社会課題となると便利な白物家電を数多く生み出し、美容への関心が高まれば“美容家電”というジャンルを生み出すなど、生活者に寄り添い、100年以上にわたり顧客視点の事業創出を実現し続けている。そんな同社だからこそ、時代の変化を敏感に察知できたのだろう。

「過去、さまざまな社会課題を家電で解決してきたのがパナソニック。いま豊かさ、便利さ、快適さをある程度は手に入れたように見えながらも、人々の困りごとは変化し、なくなっていないどころかむしろ増えているようにも感じます。変容する顧客課題を突き詰めていったところ、もはや従来の家電の領域には到底収まりきらないことに気づいたのです」

その時点でパナソニックは、社内だけで答えを得るという選択をせず、社外の意見を取り入れるオープンイノベーションの決断をしたという。同時に事業創出自体を根っこの部分から見直すべく、GCカタパルトを生み出した。

立ち上げメンバーのひとりである、真鍋はGCカタパルトの事業構築の特徴について、こう語る。

「自らも一生活者として身近なことに課題意識をもっている社員が手を挙げ、社内で通常業務を行いつつ、問題解決のためのビジネスを構築しています。仕組みとしては、まさにボトムアップ。そうした"自分ごと"起点の事業構築こそが、ブレイクスルーになると考えたからです。これまでの5年で、いくつものイントレプレナーが誕生しました」

ゲームチェンジャー・カタパルト事業総括・真鍋 馨

そんな矢先に起こったのが、新型コロナウイルスの感染拡大である。しかし深田はそのために生まれたかのように見える課題も、実は以前より存在していたと指摘する。

「コロナ禍の影響を自分なりに分析したところ、4つの気づきがありました。まず家庭内の日々の健康管理などの自助、介護、教育、アレルギー対策を施した食事などの共助の場面が増えましたね。さらにzoomに代表されるリモート時代に不可欠となりつつある遠隔コミュニケーションに関する課題、ネットフリックスの台頭などモノよりデータの時代の到来に伴う課題も見えてきました」

ただしこれらの課題はすべて、コロナ禍によって浮き彫りになったということに過ぎないと深田は考えている。

図らずもGCカタパルトの取り組みは、顧客課題に徹底的に寄り添っていたがためか、withコロナ時代にこそ有用な事業が多かったと言うのだ。

「その課題がwithコロナ時代の一時的なものなのか、それとも不可逆的に進んでいることなのか。そうしたビジネスとしての検証は、もちろんしっかり考えています」(深田)


ゲームチェンジャー・カタパルト代表・深田昌則

社会との対話により、強いビジネスを生み出す


自分ごとであるがゆえに、強いモチベーションをもって挑むイントレプレナー(社内起業家)たち。そこで重要なのはレジリエンスだとGCカタパルトのプランニングをリードする杉山は言い切る。

「事業化にあたっては、圧倒的にうまくいかないことのほうが多いのです。だからこそ、折れない心、折れても回復できる圧倒的な熱量と行動量、“なぜ自分はその問題に取り組みたいのか”というWHYを突き詰めることが重要です。そのための徹底的なサポートを行う、それがGCカタパルトです」


ゲームチェンジャー・カタパルト プランニングリード・杉山 覚

同社の事業構築が特徴的なのは、そのプロセスにある「WILL(意志)のイノベーション」ではないかと、深田は教えてくれた。

「強いWILLをもつ個人が起点となって、チームメンバーを巻き込んで議論を深め、チームとしてのWILLを醸成していきます。通常であればここで社内会議の議題としてGOサインを求めるのですが、GCカタパルトの場合は次に、課題を抱える顧客のインサイトに徹底的に向き合い、誰のためのサービスなのかを突き詰め、WILLの強度を高めるのです。

そのフィードバックをもとにさらに事業アイデアを再構築した後は、さらにメディアやイベントで社外に対して発表します。

そこでの参加者の解釈や反響などを聞き、何度も練り直す。そこでまできてようやく社内検討会でのプレゼンテーションとなるのです」

事業アイデアを育てるうえで、顧客や社会との対話を重んじる。課題についてさまざまな立場の人間とともに考え、事業構想を変化させていくというエフェクチュエーションプロセスがGCカタパルトのもち味だ。

従来の起業プロセスでは、最初に事業のゴールを設定し、そこに向かって一直線に突き進んでいくことが多い。しかしGCカタパルトでは、ゴールさえも顧客や関係者のフィードバック次第で変わる。まさに真逆にある考え方である。むしろそれが近道ということだ。

推進するメンバーは、早い段階で外部意見を取り入れることで、耳に痛い意見も聞くことになる。しかし厳しい状況のなかでも挫けずに、パッションを燃やし続けることができれば、強靭な意志力が育まれ、人を巻き込む力が自然と身についていくという。

さらにそんな社内起業家の知見を広げるため、GCカタパルトは社外の大学や他企業などと幅広くワークショップなどの活動も行っている。つまり、イノベーションのリソースとなる人材の育成や交流も同時に行う。それがGCカタパルトのやり方だ。

そうした画期的なプロセスから生まれた4つの事業アイデアが、2月15、16日にオンライン開催される「TOAワールドショーケース東京」に出展される。

興味深いのは、それらが電器メーカーから想像される社内リソースを活用したモノのリリースではなく、複合的なサービスであるということだ。彼らが徹底的に顧客に向き合い、外部意見を取り入れつつゼロから構築した結果、メーカーらしからぬ事業アイデアになったという。

それではTOAに出展されるGCカタパルトの事業を、イントレプレナーのプロフィールとともに見ていこう。

DEWKs(子どもをもつ共働き家庭)の家事・育児を楽にする「minacena」



普段は電子レンジや炊飯器などの調理家電の事業企画をしている豊岡英里子は、子どもを二人抱えるDEWKsだ。家事・育児・仕事を限界まで抱え込んでいる自身の状況から着想したのが、つくりおき料理代行サービス「minacena」である。

“家事は女性がするもの”という社会的バイアスが消えないなか、仕事・家事・育児を同時に進める大変さを日々痛感している豊岡は、家庭内で分担し切れない家事を手軽にアウトソースするシステムこそが根本的な課題解決につながると考えたのだ。

事業リーダーの豊岡英里子自身が、キャリアも私生活も120%で暮らしたいというDEWKS世代。ユーザーがスマホで「つくりおき献立提案エンジン」を通して依頼すると、材料が家庭に届き、料理代行キャストが調理をしてくれるという「平日の夕食準備」サービスが第1弾だ。

つくりおき献立を活用したこのサービスにより、家庭での料理の負担が増える日々の暮らしに余裕が生まれるとともに、代行キャスト側の負担も軽減されるという。

簡単に糖質制限食を続けられるフードサービス「よりそいごはん」



社会課題に貢献する事業に挑戦したいと、以前より考えていた川端久美子。普段は家庭用エステ機器の新技術開発を担っている。そんな彼女には、実家に糖尿病のために厳しい糖質制限を徹底している父親がいた。

川端が課題と捉えたのは、毎日特殊なメニューを用意する母親の負担である。それを軽減するために、簡単に糖質制限食を続けられるスマホアプリ連動フードサービス「よりそいごはん」を生み出した。

日々の健康管理が簡単になるアプリや、オリジナルの糖質制限用主食を用意することで、続けやすさをサポートするという。自身のYouTubeチャネルで楽しいローカーボ食を推す料理研究家、藤本なおよもサポーターについている。

子どものスポーツ映像の自動編集・配信プラットフォーム「Spodit」



地元の小学生のサッカー教室を行っていた岩山雄大は、現在経理事務を担当している。当時苦労したのは、子どもたちが頑張っている貴重な姿を映像に収めることだったという。

親が撮影でカメラを回せば、自分の目で子どもの試合を見ることも直接の応援もできなくなる。撮った後の編集も大変だ。ましてや無観客でやむなく家庭で応援する家族もいる。そうした課題を解決するために、親子のためのスポーツ映像の自動編集・配信プラットフォームが「Spodit」だ。

フィールドに2基の4Kカメラを設置し、180度ワイドアングルで試合を自動撮影、映像はクラウド上で共有され、各々の子どもを主役としたダイジェスト映像をAIが自動制作してくれる。プロスポーツではない、アマチュアスポーツ共通の社会課題や、距離の離れた家族でも映像が楽しみたかったという家族の課題解決に拡大していくかもしれない。

展示空間を見て回って話を聞き、購入までの体験が可能なオンラインギャラリーサービス「Uttzs/ウツス」



洗濯機の工業デザイナーとして勤務する一方で、造形作家としてアーティスト活動も行っている田上雅彦。コロナ禍により自身や仲間の出展予定がキャンセルになってしまったことから、デジタルとリアルを融合させた展示ができないかと模索を始めた。現状のeコマースでは必ずしも質の高い体験につながっていないという課題があった。

そうして誕生したのが、展示空間を見て回って話を聞き、購入までのハイコンテクストな体験が可能なオンラインギャラリーサービス「Uttzs/ウツス」である。

チームのメンバーは京都、大阪、米国シリコンバレーに散りながらも結束を高め、自身の展示販売会ですでに実証実験を済ませている。社内ではその発想の新しさから、スムーズに理解を得られない状況が続いたが、無事ベータ版まで漕ぎつけた。

「TOAワールドショーケース東京」に寄せる期待


GCカタパルトは、2月15、16日に開催される「TOAワールドショーケース東京」に出展を決定している。TOA(Tech Open Air)はドイツ・ベルリンで毎年開催されている欧州最大のテックイベントだが、その東京ショーケースイベントである本イベントはコロナ禍の影響で今回、オンライン開催となった。しかしそうした状況も、深田はポジティブに捉えているようだ。

「先だってオンライン開催されたCES(ラスベガスで開催される世界最大規模の技術見本市)で感じたのは、従来の大画面CGと大音量のサウンドによるプレゼンテーションが、この社会課題満載の現代社会に本当にマッチしているのかという疑念でした。

というのもそうした、 AIとロボティクスで未来は明るいという派手な演出は、オンラインではどれもPC画面に収まってしまい、YouTubeと同じサイズ感になってしまっていた」

何もかもがフラットな状態。そこで深田の脳裏に浮かんできたのは、事業の本質だったという。

「小さな課題解決のための事業に見えたとしても、その先には大きな社会課題解決につながる可能性がある。そうしたアイデアを真摯に、参加者とインタラクティブに会話できる視点の『TOAワールドショーケース東京』には、大きな期待を抱いています。


GCカタパルトが目指す未来とは?


GCカタパルトの母体であるパナソニックもまた、持株会社への移行に伴う組織改革など、大きな転換期を迎えている。そうしたなかでGCカタパルトは今後、どのように未来を描き出すのだろうか。

杉山は新たな時代に活きるスキルについて語ってくれた。

「今まさに起こっている大きな環境変化により、過去に得たスキルが役に立たない時代が訪れつつあります。そうした状況で求められるのは、きっとGCカタパルトが行っているような新規事業を立ち上げるスキルだと思います。今後スタートアップ並みのスピード感をもってプロジェクトをグロースさせていくことが目標です」

一方、真鍋は“自分ごと”起点の事業構築こそが、ブレイクスルーになると言う。

「GCカタパルトは個を重視します。ミクロで多様な顧客課題に徹底的に向き合うことで、その一段上にあるマクロな社会課題を解決できると考えるからです」

最後に深田が、GCカタパルト自体もまた、改革し続ける必要があると締め括った。

「パナソニックが真の社会貢献を果たすための、きっかけづくりをしているのがGCカタパルトです。そのエンジンは社員のパッション。パナソニックも改革の時を迎えていますが、私たちもまた自らがプロトタイプだという認識で、常に柔軟に変化しながら、人、顧客課題を起点に社会課題に立ち向かっていきたいと思います」



深田昌則(ふかた・まさのり)◎AV機器の海外営業、本社五輪責任者等を担当後、北米勤務等を経て、2016年新規事業アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」を創設し現職。米VC、㈱INCJと合弁で事業支援会社㈱BeeEdgeを設立し取締役を兼務。神戸大学MBA 。

杉山 覚(すぎやま・さとる)◎洗濯機事業の企画・インドでの事業開発・ベトナムでの企画責任者を経て、現在は新規事業アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」のプランニングリードとして、新規事業開発PG推進中。中小企業診断士。

真鍋 馨(まなべ・かおる)◎本社経営企画部、冷蔵庫事業部経営企画課長を経て、2016年新規事業アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」を立上げ、事業総括として新規事業責任者を務める。ケンブリッジ大学MBA。


▶TOAワールドショーケース東京 2月15、16日オンライン開催

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Promoted by Game Changer Catapult 文=清水りょういち 編集=高城昭夫

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