その名も『独学大全』(読書猿著、ダイヤモンド社刊)。なんと800ページ近い大部にして、昨年9月末発売後2カ月を待たずに7刷出来。現時点で14万部を突破の未曾有の売れ行きだ。
『独学大全』は世界の「知」を全網羅、著者であるブロガーの「読書猿」が独自に収集、開発した「55のベスト技法」を厳選した勉強本の決定版である。勉強に挫折したとき、本を探すとき、何らかの答えが見つかる百科事典なのだ。
版元のダイヤモンド社は年末の「週刊ダイヤモンド」のトップで本書を扱い、著者が開発したカレンダーも付録につけるという異例の記念特集も打った。
Forbes JAPANでは、本書を「独学の孤独」に悩む諸兄に紹介するべく、以下、ダイヤモンド・オンラインの記事から転載する。匿名のメッセージを受け付けるサービス「マシュマロ」の著者アカウント宛てに読者から寄せられた質問(著者のマシュマロはこちら)を元に加筆・修正されたものだ。
[質問]
私は現在ひきこもりです。常態化しています。焦りと不安ばかりで、なんとかしようと思うのですが、まるで動くことができません。
読書猿さんにお聞きしたいのは、どうすれば行動できるようになるかです。なにもない生活ですので、ひたすらダラダラとしていて、社会復帰(つまり具体的な行動)のきっかけが何もありません。また、きっかけがあったとしても一歩踏み出す勇気すらない状態です。ずっとこのまま年をとっていくのは嫌です。けど何をどうすればいいのかわかりません。どうか知恵をおかしください。
「移動せずにできること」から始めてみてください
[読書猿の回答]
理詰めでやるので少し長いです。状況の悪い側面は既にあなたが痛いほど集めておられるでしょうから、ここではまず、わずかながら存在する良い側面に注意を促したいと思います。
まずあなたには、自分では何もしなくとも「このまま歳を取る」ことができるだけの生活を支えるリソースがおありのようです。1週間以内に何らかの収入か支援がなければ飢え死にしたり住むところを失ったりといった状況にもないように思います。またこうしてインターネットに接続できる手段も、他人に理解できる日本語を書く能力もお持ちです。
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そして最も重要な点ですが、自分が問題の当事者だと考え、何とかしなければと自分から私に質問を投げられました。これはものすごいリソースです(引きこもりでは親など周囲の人だけが相談するケースも多いのです)。
以上のようなリソースがあるおかげで、あなたは「中長期的」な対策を、言い換えれば、一発逆転を狙うのでなく、<スモールステップでできることを少しずつ着実に増やす>という戦略を取ることができます。
あなたが数日後には生命の危機にさらされるような窮状にあるならば、かわりに「緊急避難的」な対策を選ぶしかないので、これは大きな違いです。「緊急避難」はあくまでその場しのぎ、時間を稼ぐだけなので、問題を解決するものではありません。