Sarah Silbiger/Getty Images

ジョー・バイデン大統領率いる新政権の下、米疾病対策センター(CDC)の所長に就任したロシェル・ワレンスキー博士は、ドナルド・トランプ前大統領は新型コロナウイルスのパンデミックの深刻さの程度を実際よりも低く見せるため、「CDCの口を封じていた」と批判。国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長と同様の考えを明らかにした。

Foxニュースの番組に出演したワレンスキー新所長は、「CDCの職員たちは…口を封じられていた、(そして)常に科学に従っていたわけではなかったと思います」と語った。

米国の感染症研究の第一人者であるファウチ所長は、1月22日に出演したCNNの番組で、トランプは「科学に十分に耳を向けていなかった」として容赦なく非難。「極めて、極めて明確に示されていた事実…それらに疑問の目が向けられた」と述べ、前政権の対応が人命を犠牲にした可能性が高いとの見方を示した。

前政権下では、CDCのロバート・レッドフィールド前所長もまた、新型コロナウイルスがもたらした危機への対応を厳しく批判されてきた。前所長は20日の退任を前に応じた米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、パンデミックの発生以降、「市民のリーダー」たちの「公衆衛生に関するメッセージが一貫性を欠いていた」ことを認めている。

政治を優先


パンデミックの発生当初から、CDCとトランプ政権の関係は悪化していた。昨年2月、トランプがこの感染症に対する懸念を和らげようとするなか、CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メソニエ所長が記者会見で、このウイルスは「日常生活を大混乱に陥らせる可能性がある」と発言。株価が急落し、トランプを激怒させた。

また、5月にはCDC関係者がCNNに対し、自分たちは「口を封じられて」おり、「科学よりも政治的な目標の方が優先されている」発言していた。

9月には厚生省(HHS)の次官補だったマイケル・カプートが、このウイルスの問題の深刻さに関するCDCの報告書を書き変えようとしていたと報じられたことに加え、CDC内にトランプに抵抗する「部隊」が隠れていると批判したことについて謝罪した。

パンデミックが猛威を振るうなか、トランプ政権下のホワイトハウスは昨年7月から11月下旬まで、新型コロナウイルス対策本部によるブリーフィングを一度も行っていなかった。また、トランプは選挙活動に集中し始めた昨夏以降、ファウチ所長と何カ月も話をしていなかった。

トランプはパンデミックへの対応を巡る問題や死亡者数が信じ難いほどの数にのぼっていることを指摘されるたび、ファウチ所長やほかの保健当局者を批判してきた(米国の死者数は現在、すでに42万人を超えている)。

昨年10月には、ファウチ所長を「最悪だ」と批判。マスコミが否定的な態度を取らなければ、解任していただろうと発言していた。

新政権の課題


数日前に就任したばかりのバイデン大統領は、新型コロナウイルスのワクチン接種に関する計画の推進を迫られている。新政権は大統領の就任から100日で1億回分の接種を行うと約束しているが、すべての国民が接種を終える時期についての見通しは示されていていない。

ワレンスキー所長はFoxニュースのインタビューで、ワクチンの供給が追い付いていないことを明らかにしている。

編集=木内涼子

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