米空港で誰にも気付かれず3カ月生活できたのはなぜ? 警備専門家が考察

オヘア国際空港にて(Scott Olson / by Getty Images)


プライスは、シン被告がバッジを使ってドアを開けようとはしなかった可能性があると指摘。「問題は、バッジには有効期限が記載されていて、この期限が切れていない限り、一見して有効なものに見えることだ」とした。

プライスは、シン被告が首の周りにバッジをかけ、関係者に続いて制限区域に入っていた可能性があると考えている。「空港では、自分に続いて他の人にドアを通過させるのは重大な違反行為。後に続く人を止め、バッジで扉を解錠できることを証明させる決まりとなっている。だが、これは非常に人頼りのプロセスであり、扉には多くの技術が活用されているものの、従業員が注意を怠り、しかるべき対応を取らなければ、あまり意味はない」(プライス)

エプロンにいる人に関しては、警備員が定期的に巡回して確認することになっている。「米運輸保安局(TSA)も空港側も、無作為の従業員検問地点を設けている。しかし、こうした場所を避けることはそれほど難しくない」(プライス)

ただ、新型コロナウイルスの流行により、監視体制に影響が出た可能性があるという。「従業員がマスクを着けている状況では、許可を持たない人を見極めることが難しくなる」とプライス。さらに、「空港職員は便の到着を待っていることが多いため、ただ何もせず立っている人は珍しくない」とも指摘した。

バッジを所持する空港の従業員は、制限区域内に入る際は互いの身分確認をするよう訓練されている。プライスは「バッジを見るべきとされているが、マスクを着用していると、本人かどうかを判断するのは難しくなる。相手にマスクを下げてもらわなければならず、それまでは相手が誰かは分からない」と述べた。

編集=遠藤宗生

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