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2021.02.03

未来のベッド「Eight Sleep」で寝てみて感じたSleepTechの可能性

私がスタートアップの創業者、そしてベンチャーキャピタルファームの創業者として最も忙しかった時期を思い出すと、睡眠をずいぶんないがしろにしてしまっていたと思います。朝早くから深夜遅くまでほぼ休まず働くことを自慢にすら思っていました。当時の私は、スタートアップで働く人間にとって睡眠不足は当たり前で、睡眠時間を削らなければ成功できないと思い込んでいたのです。

気付いていなかったのは、睡眠不足が生産性を著しく低下させるということでした。寝不足の日は機嫌が悪く、頭も冴えもいまいちだったのです。

しかし、2年前から私はこの考えを改め、睡眠を大事にすることを心がけはじめました。まず、毎晩7〜8時間は睡眠時間を確保するようになりました。

睡眠の質にも気を配るようになり、より良質な睡眠を得るために、睡眠に影響していると思われる要因を意識的に改善しました。

たとえば、私はコーヒーが好きなのですが、昼の12時以降はカフェインは控えています。寝室の環境についても、画面のあるデバイスをKindle以外では持ち込まないようにしています。

また、寝る2時間前からは水分の摂取量を減らし、特にアルコールはなるべく飲まないようにしています。他にも睡眠の質に影響しているものや習慣などに気づいたときは、その都度ライフスタイルを少し変えてみるなど、常に改善を続けています。

このように睡眠に気を使いはじめたわけですが、実は最近までこの「睡眠の質」というのを翌日の気分や体調が良いかどうかだけで判断していました。定量的に測るための実用的で信頼できるツールが見つからなかったからです(ちなみに、私は日中ですら腕時計をしませんので、寝るときにApple Watchをつけるという選択肢はありませんでした)。

そんなときに見つけたのが、「Eight Sleep」という眠りを最適化するためのスマート・マットレスです。実際にこのマットレスを使い始めてからは……、ものすごい変化がありました。

Eight Sleepの機能としては、まずはそのモニタリング機能があげられます。ベッドで横になっている時間や、実際に寝ている時間、寝返りの回数など、睡眠に関わる数多くの基本的要素を測定できます。

しかし、このマットレスはそれだけではなく、睡眠段階や呼吸数、心拍数、心拍変動も測定することでさらに詳しく睡眠を解析してくれるのです。

心拍変動(HRV)はユーザーに合わせてパーソナライズされる指標で、その人の健康状態やストレスレベルについて教えてくれます。高いHRVは良い状態、低いHRVはストレスが高い状態をそれぞれ示しています。

たとえば、私は今月の上旬に重要なプレゼンがあったため、とても緊張していたのですが、マットレスが実際にこれを検知し、「今日はあまり無理をしないようにしましょう」、「手洗いをしっかりして、アルコールを控えるなど、免疫力が低下しないようにしましょう」などと教えてくれました。
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文=James Riney

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