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2021.02.03

未来のベッド「Eight Sleep」で寝てみて感じたSleepTechの可能性


その多機能で詳細なモニタリング能力も素晴らしいのですが、Eight Sleepにはさらに踏み込んだ機能が備わっています。なんと、睡眠環境を最適化するためにユーザーの体に直接働きかけることができるのです。

具体的には、体温の調整を通して睡眠をサポートしてくれます。体温は入眠時に重要となる要素で、そのうえ各睡眠段階における睡眠の質や持続時間にも影響します。

スタンフォード大学のCraig Heller教授によれば、「眠りにつくと、脳が保とうとする体温の基準値が下げられる」とのことです。つまり寝るときの環境が暑すぎたり寒すぎたりすると体がなかなかその最適な体温に近づけず、負担となるのです。

Eight Sleepマットレスはユーザーのコンディションやニーズに合わせて温度を調整し、良質な睡眠を得るのに最も適した環境を提供してくれます。しかも、マットレスを2人で使う場合も、左右で温度を変えて各ユーザーに合わせて調整してくれるのです。

これだけでも十分すごいのですが、さらにバイブレーション式のアラーム機能が内蔵されていて、胸の位置あたりでバイブレーションすることでユーザーを個別に無音で起こしてくれます。同時に、快適な覚醒に向けて起床予定時間の少し前からマットレスの温度を調整してくれます。

隣の人を起こさずに起床したいという悩みも、このマットレスがあれば簡単に解決できるのです。

Eight Sleepはまだ日本では手に入れられないのですが、その画期的なテクノロジーをいち早く体験したかったので、アメリカにいる知人宅に届けたものをわざわざ日本まで送ってもらいました。

マットレス本体を送ってもらうのはさすがに大変すぎるので、ちょうど新しく発売されたばかりの同じ機能が搭載されているマットレスカバーを購入しました。非常に手間がかかりましたし、値も張りましたが、今のところその価値があったと感じています。

まるで投資先を紹介するかのようにEight Sleepを絶賛してしまいましたが、あいにく私はEight Sleep社には投資していません。

しかし、Founders Fundにいる私の友人たちが実際に同社に投資していて、2019年の後半にシリーズCの資金調達を行っています。それ以前のラウンドについても、同社はKhosla Venturesからの調達に成功しています。

デジタルヘルスが伸び続け、中でも「クオンティファイド・セルフ(自分の定量化)」の分野がますます活性化すると予想される中、Eight SleepのようなSleepTechも重要な領域として今後注目を集めるようになると私は考えています。

事実として、睡眠は健康全般や個人のパフォーマンスに最も影響する要因の1つであり、その重要性がすでに数多くの研究によって認められているのです。

それらの研究についてもっと詳しく知りたいという方には、Matthew Walkerの「睡眠こそ最強の解決策である」という本をおすすめします。睡眠の科学について最もよくまとめられている本だと思います。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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