ビジネス

2021.02.01

東大発VCの圧倒的投資力が、海外スタートアップとのオープンイノベーションを可能に


海外スタートアップは日本の市場をどう捉えているのか


海外スタートアップにとって、世界最大のB2B市場の一つである日本とのオープンイノベーションはどのように映るのか。

デロイトトーマツベンチャーサポートのVasudevan氏は「過去50年間、日本企業はイノベーションの先頭に立ってきた。今でも日本はGDP世界第3位で、最近の調査によると、日本のAIの導入率は米国や中国をも凌ぐ。日本企業は設備投資だけでなく、海外のスタートアップ企業とともにスケールアップするために必要な専門知識やスキルを持っているため、パートナーとして非常に魅力的な存在だ。この20年で世界各国から革新的なソリューションを提供するスタートアップが誕生ししているが、日本流のイノベーションでそれらを補完するオープンイノベーションモデルはメリットがあるだろう。

アジアの株式市場のグラフ
東京、香港、シンガポールの株式市場の比較。左上から時計回りに上場企業数、通常取引額、売買回転率、時価総額を表す。東京市場はそれぞれの指標で大きな魅力を持っている。

また、日本のスタートアップのシード投資家の67%はIPO(残りはM&A)でイグジットしているが*2、これは日本独自の強みであり、日本にスタートアップを誘致するうえでも魅力的だ。東南アジアやインドではイグジットの90%以上がM&Aだが、これは、制度や流動性の面でスタートアップが上場しやすい証券取引所がこれらの国々にないことも起因している」と語る。
*2 JETRO Reportより

海外スタートアップの日本での上場は


Mysore氏は、「UTECが支援する数多くのグローバルDeep-techスタートアップや提携先グローバルVCは、日本の東証マザーズへのIPOに関心がある。香港のHKEX GEMやシンガポールのSGX Catalystといったアジアの新興上場市場と比較して、東証マザーズは、取引量、流動性、PERのいずれにおいても優れている。2017年に米国のスタートアップTechpoint社が東証マザーズIPOに成功したように、JDR(日本型預託証券)を介することで、グローバルスタートアップにとっても日本でのスムーズなIPOが可能ということが明らかになった。私にとって日本は、努力が報われる社会であり、自分が成長するためにたくさんのかけがえのない機会や力を与えてくれた国。自分は日本の居住者であることを誇りに思うし、この偉大な国の未来のために積極的に貢献したい」と語る。

文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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