従業員のPTSD発症が増える恐れ 正しい対処法は?

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昨年は、新型コロナウイルスの流行などにより非常にストレスの多い年だった。今後は、従業員の間でトラウマ(心の傷)に関連した症状が増えるかもしれない。こうした症状に気づき、サポートできるようにしておくことが重要だ。

部下や同僚の中には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を経験している人が出てくるかもしれない。PTSDは、命を脅かされるような衝撃的出来事を経験・目撃したり、親しい人がトラウマとなるような経験をしたり、あるいはトラウマ的出来事の生々しい詳細に繰り返しさらされたりした場合に起きる。PTSDは医療従事者や消防隊、警察官といった職業で発症する可能性が高い。例えば救急隊員は、事故の現場を見ることでPTSDを発症することがある。

医療従事者や救急隊員は、新型コロナウイルス感染症で多くの人が亡くなる様子を目撃している上に、自らが感染し家族にうつしてしまうことへの恐怖を感じている。新型コロナウイルスに感染した患者の対応に当たる医療従事者の多くは、家族との接触を避けてきた。孤立はメンタルヘルスに大きな影響を与える恐れがあり、不安症やうつ病、PTSDを誘発する。こうした孤立感は、隔離措置により悪化している。

医療従事者の中には、患者だけでなく一般の人々から暴言を吐かれたという人もいる。こうした行為は当然ながら、うつ病や不安症、PTSDの症状を悪化させてしまう恐れがある。

また、医療従事者や新型コロナウイルス感染症で家族を失った人の間では、無力感も広がっている。こうした人々はどんなに努力をしても、患者や家族が孤独かつ過酷で急な死を遂げることを防げなかった。

また、複雑な悲しみを感じている人に出会うこともあるだろう。人々は家族を突然失い、その多くはひどく苦しみながらこの世を去った。犠牲者の多くは、遺族にとって癒やしの機会となる葬式を行えなかった。複雑な悲しみを経験している人は、PTSDの症状もあるかもしれない。PTSDの症状はさまざまで、不眠や、ささいなことで驚くこと、いらいらや怒り、感覚の鈍化、フラッシュバック、集中力の低下などが含まれる。
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編集=遠藤宗生

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