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2021.01.26 12:00

英ICU医療スタッフ、コロナ禍で約半数にPTSDなどの兆候

Neil Hall - Pool/Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、集中治療室(ICU)で働いてきた英国の医療従事者のうち、半数近くが飲酒の問題や重度の不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに苦しんでいる可能性があるという。

キングス・カレッジ・ロンドンが公表したこの研究結果が示すのは、新型コロナウイルスと戦う医療従事者が、精神的にも大きな犠牲を払っているということだ。

研究チームは英国内の医療施設9カ所のICUで臨床業務にあたる700人以上を対象にアンケート調査を実施。結果をまとめた論文をジャーナル「Occupational Medicine(オキュペーショナル・メディシン)」に発表した。

論文によれば、調査の結果、「臨床的重要性を持つ程度」とみられる重度のうつ病、PTSD、重度の不安障害、飲酒の問題がある人は、約半数にのぼった。最も多くの医療従事者にみられたのはPTSDで、調査対象者の40%が「臨床的に有意」とされる基準を超えていた。

また、臨床医のうち7人に1人以上が、自傷行為や自殺を考えたことがあると答えたという。看護師はいずれの測定基準でみた場合でも、調査対象とした人たちのなかで最もメンタルヘルスの状態が悪化していた。

対応が急務


論文の筆頭著者であるニール・グリーンバーグ教授はこうした症状について、「質の高いケアを提供する能力が損なわれる可能性が非常に高い」と同時に、本人の生活の質に悪影響を及ぼす可能性もある程度だと説明している。

さらに、ICUに入る新型コロナウイルス感染症の患者の致死率が高いこと、人生を終える患者とその家族に対する支援の提供やコミュニケーションを取ることの難しさが、対応するスタッフに多大なストレスを与えているとの見方を示している。

教授によると、「科学的根拠に基づき、ICUのスタッフをはじめメンタルヘルスに問題を感じたすべての医療従事者がすぐに治療を受けられるようにするための方法を確立する必要がある」という。

ただ、研究チームは、これらの結果はアンケートへの回答に基づいたものである点を指摘。ICUで働く医療従事者たちのメンタルヘルスに関する臨床的ニーズをよりよく理解するには、症状の程度や回答の信頼性をより正確に評価するためのさらなる研究が必要だとしている(自己申告の回答は、症状の程度を過大評価する可能性があるという)。
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編集=木内涼子

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