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──歴史ある横浜F・マリノスを、サポーターの皆さんがいま以上に応援してくれるようにするには、どういった施策が必要でしょうか。

辻:ユーザーが応援してくれるのは、チームが持つ「ストーリー」なんです。誰がどんな思いをもって活動しているかという一連のストーリーを、ユーザーの皆さんは大事にしてくれるし、応援してくださる。

僕らはこのストーリーを重視した企業経営の仕方を「MVVC(ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー)経営」と呼んでいます。

ストーリーという意味では、横浜F・マリノスさんはいろんな人々の思いで支えられているチームであり、すでに素晴らしいストーリーを持っています。そうして醸し出されてきた横浜F・マリノスというカルチャーに、僕らの持つデジタルの力が組み合わされば、もっと面白いコンテンツができるんじゃないかと思っています。

日本のスポーツビジネスを「もっと前へ」


──最後に、これからの日本のスポーツビジネスについて、どんな考えをお持ちでしょうか?

辻:今回、僕たちマネーフォワードと横浜F・マリノスさんを繋げてくださった赤坂さんやCFJさんのように、流行をきちんと掴んでくる存在の方から、スポーツ業界も多くのヒントを得られたらと思います。

ビジネスにおいても得意分野が違う異業種の人と話すことで、今回のような新しいシナジーが生み出しやすくなる。他の分野からの視点で、スポーツチームの価値や方向性を真剣に定義していければ、より良いものがユーザーに提供できるのではないかと思っています。

これからは、ビジネスのどの分野でも、「コミュニティ」がとても重要です。幸い横浜F・マリノスさんのファン・コミュニティには、我々IT業界の人間から見ても驚くような、デジタルを通じたパワーが備わっていることを幾度となく体感しています。SNSの活用などを通じて、いかにファン・コミュニティに提供する価値をレベルアップさせていけるか。本当に楽しみでたまりません。

赤坂:インターネットトレンドの変遷のなかで、SNSが生まれたことにより個人も広く情報発信できるようになりました。そして、その発信力をよりエンパワーメントするインターネットサービスも生まれています。また、さらにそこからクラウドファンディングで資金を集めることもできるようになるなど、企業と比較して小規模であると思われてきた個人の力がより一層最大化されつつあります。

そうした背景のもと、今後メディアやインターネットサービスが向かう先は、従来のスポーツビジネスのような「サポーターに支えられて存在するビジネス」と非常に親和性が高く、この傾向がより強まっていくのではないかと考えています。

僕を含めた横浜F・マリノスさんのサポーターはクラブを愛しているので、クラブの活動を見守ることによって生まれる心の充足には大きな価値があります。クラブはすでに十分な価値をサポーターに提供できているはずですから、クラブ側もそのことをもっと生かせるのではないかなと思っています。企業・団体などからの支援型協賛収入に加えて、サポーターへの価値提供を軸とした新たなマネタイズ施策の企画・開発を進めていくことが、日本の「スポーツビジネス3.0」に繋がると期待しています。


辻庸介(つじ・ようすけ)◎マネーフォワード代表取締役社長 CEO。1976年大阪府生まれ。京都大学農学部を卒業後、ソニーに入社。2004年にマネックス証券への参画、ペンシルバニア大学ウォートン校MBA修了を経て、2012年にマネーフォワードを設立。2017年9月には、東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。新経済連盟 幹事、シリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム エグゼクティブ・コミッティー、経済同友会 第1期ノミネートメンバー。

赤坂優(あかさか・ゆう)◎franky代表取締役CEO/WIND AND SEAプロデューサー。2008年、エウレカを設立。2012年、国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」をリリース。2015年、NASDAQ上場の米国Match Groupに同社の発行済全株式を売却。2016年から国内スタートアップを中心に約70社へエンジェル投資を行い、2018年からは熊谷隆志氏とストリートファッションブランド「WIND AND SEA」を日本および海外で展開中。2020年、frankyを本格始動。

利重孝夫(とししげ・たかお)◎シティ・フットボール・ジャパン代表。読売サッカークラブユース出身。東京大学教養学部卒。日本興業銀行(現みずほファイナンシャルグループ)を経て、コロンビア経営大学院(MBA)修了。その後加わった楽天では東京ヴェルディへのスポンサード、FCバルセロナとの提携案件をリード。東京大学ア式蹴球部総監督。footballistaを発行するソル・メディア代表取締役も務める。

聞き手・文=上野直彦 編集=松崎美和子

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