ブロックチェーン技術を利用した次世代型クラウドファンディング「FiNANCiE」を手がけるフィナンシェと手を組み、国内で初めてプロサッカーのクラブトークンを発行した。クラブトークンは、ヨーロッパではFCバルセロナやユベントスなどが導入し、話題になっている。
湘南ベルマーレは、今回のファンディングに合わせて、「サポーターとつくるスペシャルデー」を今春の平日のホーム試合で開催する。トークン(1トークン=1ポイントに換算)を保有すると、ポイントに応じて、クラブ発の投票企画に参加する権利や限定イベントやグッズの抽選に応募できるようになる。
トークンは3000円~10万円までのコースがあり、大型ビジョンに名前を掲載するコース(8000円)など、体験特典を有料で追加することもできる。クラブトークンの売り上げは、湘南ベルマーレチーム運営費とサポーター向けのスペシャルデー開催費用にあてられる。ファンディング期間は1月21日から2月20日まで。期間後にはマーケットが開かれ、保有者によるトークンの売買ができ、トークンの価値が上がる可能性もある。
フィナンシェ代表取締役の田中隆一と、湘南ベルマーレのセールスユニットリーダー加藤謙次郎に、クラブトークンの導入の狙いや展望について聞いた。
コロナ禍の「ゲームチェンジ」にどう対応するか
──両社が組むことになったきっかけを教えてください。
田中:去年11月末ごろ、私から連絡したのがきっかけですね。もともとフィナンシェは、オンラインでファンとのつながりをつくるトークン発行型のファンディングとコミュニティのサービスを提供し、インフルエンサーやグループを応援するツールとして使われてきました。今後はスポーツ分野を強化していきたいと思い、湘南ベルマーレはファンや地域とのつながりが非常に強いイメージがあったためマッチするのでは、と考えました。
加藤:ユベントスなどヨーロッパのクラブのトークンの事例は、いくつかキャッチアップしていました。海外のスポーツのビジネスの事例が日本にくるのはタイムラグがある。日本にもそろそろか?とアンテナをはっていたところに、声がかかった。
湘南ベルマーレは、これまで親会社がない中で戦い続けてきた歴史が長いクラブチームなので、新しい取り組みをやってみたいと言ってくださる方がいれば、積極的に「実験台としてください」という気持ちで、これまでにもいろいろやってきました。
──今回が国内初のプロサッカークラブトークンの発行となりますが、どのような可能性を感じますか?
加藤:近年は動画の生配信と合わせた「投げ銭」の導入や、デジタル周りやキャッシュレスの支援など、従来のチケット販売以外の新しい事例が増えてきたなかで、コロナ禍にはその動きが加速化しました。集客がしづらい状況のなか、世の中や業界が「ゲームチェンジ」にどう対応していくのかを考えなくてはなりません。このなかでも、今回は一番新しい取り組みと考えています。
よりボーダーレスに、湘南ベルマーレのことをよく知らなくても、トークンを通じてこれまでとは違う層の方々にも知ってもらう機会にもなるのでは、と考えています。
湘南ベルマーレのクラブトークンの仕組み=フィナンシェ提供