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左よりHummingbirdチームの袴谷優介、須田隆太朗。メンターを努めたトーチリレー 神保拓也

2020年の9月から12月にかけて開催された次世代イノベーター育成プログラム、Red Bull Basement。3865組の参加者から、10組に絞り込まれたグローバルワークファイナルに日本代表として参加したチームhummingbirdの須田隆太朗と袴谷優介は、声で携帯電話を充電するプロトタイプを動かしてみせると、他国の代表チームたちにこう語りかけてプレゼンを締めくくった。

「世界を一緒に変えるために、語り合いましょう」

Red Bull Basementはエナジードリンク・ブランドで知られるレッドブルが主催するプロジェクトだ。世界中の大学生に向け、世の中にポジティブな変化を起こすイノベーションを生み出させるために発足した。ビジネスプランを公募し、各国代表を選出。日本代表を選ぶ審査会には、Forbes JAPAN Web編集部 編集長の谷本有香も加わっている。

国の代表にはインターナショナルメンターとの1on1のセッション、ワールドワイドなイノベーターとのネットワークへの参加機会が与えられる。さらに日本代表にはメンターとして元ファーストリテイリングの上席執行役員で、現在は経営コンサルティングや「心に火をつける。」トーチングを展開するトーチリレーの神保拓也と、企業の研究開発技術や数多くのイノベーティブな製品・サービスのプロデュースを手がける、マクアケのR&Dプロデューサー/クリエイティブディレクターの北原成憲が参加。約1カ月後に控えたファイナルピッチを含むグローバルワークショップに向けての準備が始まった。

騒音をエネルギーに変えることで「嫌われ者の音」をヒーローにしたい


hummingbirdは、音に着目した環境発電の実現を目指すプロジェクトだ。須田は言う。

「電車に乗ると、換気のために窓が開いていて大きな音が車内に入ってきます。空港や交通量の多い道路でも、音は騒音と呼ばれ、まるで悪者扱いです。僕らのプロジェクトでは音を電力に転換することで、騒音をヒーローにしたいと考えました」

この領域にはすでに先駆者がいるが、まだ日常的な利用には至っていないと袴谷は話す。

「1960年代からアイデアとしてはあった技術でした。それを僕らが1カ月で実用化させることは現実的ではありません。するべきことは、この技術で生活をどうよくすることができるか明確に示すことでした」


hummingbirdが作成したプロトタイプ。音波(空気振動)をレシーバーで受け取り、共振機で振動を増幅したのちに電気エネルギーに変換する。

メンターとの会合にあたって、須田、袴谷、そしてメンバーの青山奈津美、木村拓仁は、100以上のアイデアを出したという。同時にプロトタイプの作成、そしてプログラミングなど努力を重ねた。

「その努力を分かったうえで、子ども扱いせずにイノベーターと接する態度で挑みました。なので安直なアイデアをむげにぶった切ることもしました」

そう語るのはトーチリレーの神保だ。神保にはかねてから起業家への問題意識があったという。それは、多くはアイデアを生み出すことには熱意を傾けるものの、アイデアを「育てる」ことへの意識が足りないのではないかということだった。

「生み出したアイデアは絶対に育てきるんだ」という胆力をもってほしかったという神保は、最初のミーティングでhummingbirdに「フィードバック、どれくらいの強さを希望しますか?」と突きつけた。「最大で、と言うしかないじゃないですか」と袴谷は笑って振り返る。

Text by Tsuzumi Aoyama | photograph by Kotaro Washizaki

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