日本でデジタル格差が加速する要因
日本は、世界の中でも格差の少ない国とされていますが、デジタル化においては、大きな格差が広がる可能性が高いと思います。理由は、日本独特の制度である年功序列と、人材流動化の低さにあります。
年功序列制度は高度成長期には日本企業の成長の原動力になりましたが、今後は足枷になっていきます。新しいものは常に若い人が積極的に取り入れていきます。
企業においても、デジタル化で考えるならば、経営・マネージメント層に若い人が多い方がデジタル化に積極的になり、逆に経営・マネージメント層に高齢の方が多い場合はデジタル化に消極的になる傾向があります。
企業のデジタル活用を促進してデジタル変革を起こしていく場合には若い人の抜擢が有効な手段なのですが、年功序列制度がそれを阻んでしまっています。
人材流動化の低さもまた高度成長期には日本企業の成長の原動力でしたが、今後は年功序列制度以上に足枷になってきます。人材流動化が高ければ、人材が集団を行き来してノウハウの平準化が進むのですが、日本の人材流動化の低さがそれを阻んでいます。
今後は、多くの日本企業が抱える年功序列制度・人材流動化の低さを乗り越えて、人々が等しくデジタル変革の機会に恵まれ、少なからず恩恵が得られる世の中に近づけるべきだと思います。
リーダーの姿勢がデジタル格差を生む
デジタル格差は何によって生まれるのでしょうか。私は、環境と習慣によって格差が生まれると考えています。
人間は環境によって左右されるものです。都会に住めば都会の暮らしに順応し、離島に住めば自然豊かな暮らしに順応していきます。
同様に、デジタル環境に囲まれていればデジタル化に積極的になるでしょうし、アナログ環境に囲まれていればデジタル化には消極的になるものです。
習慣についても毎日SNSで発信することが習慣になれば様々な工夫をしていくでしょうし、スマホを持たなければSNSを見ることさえしないでしょう。
では、この環境と習慣は誰がつくりあげていくのでしょうか。その集団のリーダーです。国ならば大統領や首相、企業ならば経営者、学校ならば学校長、個人ならばもちろん自分自身です。環境と習慣はリーダーの姿勢によるところが大きいのです。
欧米企業と日本企業の経営者のデジタル資質を比較してみると差は歴然です。欧米では、デジタルを学んだプロ経営者がその座についていることが多く、日本では、叩き上げで経営者になりデジタルを苦手にしている人が多いのです。その結果が、世界におけるデジタル後進国と言われる現在につながってしまったのだと思います。
デジタル資質を持つ経営者が率いる企業と、そうでない企業との格差は大きなものになるでしょう。これからは既存の経営者が猛然とデジタルスキルを習得する努力をするか、デジタル資質を持った人材に経営者を任せるか、選択を迫られる時代になると思います。その判断を早急に行い、迅速に行動していく企業が成長しその差を広げていくのです。
連載:デジタルで人生を豊かにする「デジタブルライフ」
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