I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Eric Ng/South China Morning Post via Getty Images

ニュースサイトのクオーツに先日、『It’s time to start wasting solar energy(今こそソーラーエネルギーを無駄にすべきだ)』と題した興味深い記事が掲載された。エネルギー業界ではかつて、投資は需要を満たせる最低限の範囲に抑えて、インフラにかかる莫大なコストを消費者に転嫁するのが一般的な考えだった。しかし同記事は、業界がそこから脱却し、追加コストなしに余剰エネルギーを生産するという考え方へと移行していることを指摘している。言い換えれば、「余剰の経済」をエネルギー部門に適用する考え方だ。

ソーラーパネルにかかる費用は過去10年で90%も下落しており、ソーラー発電施設で最もコストがかかるのは、用地とパネルを固定するためのフレームとなっている。ソーラーエネルギーにかかるコストは今や、史上最低まで低下している。さらにソーラー発電は、摩耗する可動部品に頼ることなく、生産をソフトウエアで制御でき、タービンや炉のメンテナンスも必要ない。また、パネルを設置する敷地は、工夫次第で別の用途にも利用できる。

今や、ソーラーファームにエネルギーを過剰供給できる能力を持たせるべき時がきているのだ。これは、従来型発電では決してできないことだ。エネルギーを理解する上では、たとえ現時点で市場に需要がなくとも施設を増設し続ければ安上がりになるということを理解することが重要だ。さらには、ソーラーパネルの価格低下のみならず、曇りの日や夜間でさえも発電を可能とする技術の進歩も起きている。

こうした規模の経済に基づいた運用の可能性や、電力を測定する価値もないほどに安価で大量に供給できるようになれば可能となることについて考えてみてほしい。新型のソーラー発電設備は既に大幅な余剰供給が可能な能力を備えており、総発電量はインバータ容量を大きく超えている。余剰分は最近には130%に到達し、今後は291%となる予定の施設もある。

余剰エネルギーは、バッテリーに蓄電したり(バッテリーもまた、価格がこの10年で88%下落している)、保管・運搬して必要な時に使うことが可能なグリーン水素の生産に使ったりできる。

今後10年間で、あらゆる発電設備の規模が見直されて行くだろう。化石燃料火力発電所を廃止して大規模なソーラー発電所に置き換えるのは、環境面のみならず、コスト面でも優れている。化石燃料から脱却できない電力企業は、価格を下げられず、時代に置いて行かれるだろう。

個人であれ、電力会社であれ、国家であれ、このことを理解できる者は、その恩恵を得ようと急いでいる。不足の経済から余剰の経済への切り替えは、イメージや理解、受け入れが難しいかもしれないが、その根幹は疑いの余地がない。発電設備を過剰に整備することは、技術の規模の経済という視点を持たなければ不合理に思えるかもしれない。再生可能エネルギーをめぐる前世紀的な考えを未だに持っている人は、現状をよく見直すべきだ。そうすれば、真の開眼が得られるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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