教育における能力はいま、知識だけではなく、思考力や創造力、主体性が急激に求められています。弊社は、自然に探究心や知的好奇心が育ち、学ぶ力がつく「本来の学びの形」を子どもたちに提供すべく、毎月届くボードゲームと動画で遊びながら学べる通信教育「タンキュークエスト」、恐竜、宇宙、歴史、芸術、人体などありとあらゆる分野を横断的に探究する小学生向け学習塾「tanQLabo」を全国展開しています。
大学時代から「教育」について興味があり、教員免許を取得しようと母校で教育実習も行いましたが、これからの教育にはITが欠かせないと判断し、伊藤忠商事で情報産業にたずさわりました。転機は同じく教育に関心のあった友人たちとの「週末起業」。親子で学べる体験型の動画教材の制作・配信を進めるうち、「人には使命がある」と強く感じるように。代替性というか、僕がいなくても伊藤忠は難なく回っていくけれど、僕がいないとこんな変な教育プロダクトをつくる人はいないだろうなと思い、起業を決心しました。
ボードゲームやカードゲームは小さいころから好きでした。最初にハマったのはモノポリーです。年に数回、父の大学時代の教授の家に行き、暖炉の前で教授の家族と僕たち家族8人で日がな一日行うというのが恒例でした。中高生のときは「マジック:ザ・ギャザリング」。現在世界中で2,000万人を超えるプレイヤーとファンをもつ世界最高の戦略トレーディングカードゲームですが、学校から帰宅後、毎日のように友人たちとやっていました。
ボードゲームやカードゲームには根源的な面白さがあります。特にカードにはアーティスティックな魔力が秘められていて、これを使って誰かと知恵比べをしたり協力し合ったりするというのが非常に知的好奇心をくすぐられる。さらにトレーディングカードゲームの場合は、必要なカードの交換時に「いかに自分の欲しいカードの価値が低く、自分があげるカードの価値が高いか」をプレゼンしあうので、目的論的思考やロジカルシンキングは当たり前のように身についた気がします。「ロジカルシンキングの講座を1日8時間受けなさい」と言っても苦痛に感じるだけですが、カードゲームであれば誰もが楽しくできる。そんな「遊び」の素晴らしさ、有益さが、我々の事業の骨格になっています。
もうひとつの趣味は料理です。商社勤めの際に息抜きで始めたのですが、「社畜のはりきり朝ごはん」というブログにその拙い料理についてつづり出したら、反響が思いのほかあって。炊飯器でカレーやアクアパッツァをつくれることを発見したり、水を入れ忘れて炊飯したときには専業主婦の方から「旦那に『こんなことするのは世界でお前だけだ』と言われたけれど、私だけじゃなかった!」とコメントをもらったり(笑)、最終的には出版社からお声がかかり、書籍化されたんです。その本は家宝ですね。いまも、おいしいご飯をつくるために料理するというよりは、調理自体が楽しい。かつ、おいしければ、食べる人が喜んでくれる。「すべてはプロセスが大事」ということを学べる料理は、本当に奥が深いです。