EV化されたフランス産のSUVは、手の届く希少なアート作品だ

ここ20年ほどクロスオーバー・SUVが旬のジャンルだ。どのカーメーカーも必死にラインアップを増やそうとしている。

その中でも特に人気なのが、ハイブリッド仕様のクロスオーバー。でも、電気自動車のSUV、言い換えれば「電気SUV」はどうだろう。実は、そんなクロスオーバーEVはあまり多くない。1000万円以上するジャガーI-PACEとか、アウディe-tronとか、メルセデスEQCなどの高級なEVのSUVならあるけど、手頃な価格で買えるクロスオーバーは少ない。

そこに、ついにフランスから1台登場した。プジョーのラインナップに最近加わったのが、同インポーター初のピュアなクロスオーバーEV「e-2008」だ。僕はこの新しいクルマの走り、質感、肝心な航続距離はどうなのか確かめたかったので、一週間乗ってみることにした。

前から見たe-2008
まず言えるのは、市場に溢れているクロスオーバーの中で、e-2008はかなりスタイリッシュで格好良い方だということ。外観はガソリン仕様と同様に未来的で、角ばったデザインになっている。

フロントデザインは存在感満点でアグレッシブ。そのヘッドライト下の長細いデイタイム・ランニングライトはまるで牙みたいなニュアンスが目を引く。ボンネットが高く、全体的なプロポーションは丈夫そうだし、横のボディラインを走るエッジがかなり効いている。例えて言えば、フレンチブルドッグか。

インテリアも外観の新鮮さに負けていない。「3D i-cockpit」と格好良いネーミングが使われているけど、実はステアリングホイールの上下は平らになっているので、メーター類が見づらい。それに対してイライラする人もいるだろうけど、僕はこういうぶっ飛んだ革新的なデザインがたまにはあって良いと思う。このスタイリングは普通のインパネを超えている。質感もどのライバルよりも高いし、これは動くアートだ。

運転席まわりの写真

特に高く評価したいのは、ピアノからインスピレーションを受けたセンターコンソールの7つのスイッチ類。小径ハンドルの他には、10インチのタッチスクリーン、携帯の充電ポート、3D表示のデジタル・ヘッドアップ・インストロメントパネルや、回生ブレーキの作動状況も品良く映るので気持ちがいい。
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文=ピーター ライオン

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