EV化されたフランス産のSUVは、手の届く希少なアート作品だ


ガソリン仕様の2008よりも、バッテリー、モーターやインバーター付きのe-2008は350kgも重くなっている。それにしても、それらのハードウエアがシャシーの低い位置に搭載されているので、ハンドリングと安定性は優秀だ。ほとんどと言って良いほどロールしないし、フラットフロアになっているので、乗り降りがしやすく、ラゲージスペースもガソリン仕様と全く同様で、バッテリー部分で犠牲にされていない。

さて、肝心な航続距離だ。e-2008は、プジョーが属するPSAグループの「e-CMP」と呼ばれる電動モジュラー車台をベースに開発された。モーターが136psを発生し、最大トルク26.5kgmを引き出す。バッテリーは、蓄電容量が50kWhと大容量であり、1回の充電で、最大385km(日本のJC08モード)の航続を可能にしているとメーカー側はいうけど、英国の媒体は330kmだという。
横から見たe-2008

エコ、ノーマル、スポーツという3つのドライブモードが付いているけど、やはりドライバーは常に航続距離を気にして走るので、エコモードで走行する人は多いだろう。スポーツ・モードに入れると、瞬時にトルクが立ち上がってあっという間に法定速度を超えるけど、航続距離が減っていくのが肉眼で見えるので、なんかもったいない気がする。

しかし、僕が一週間、エコモードで普通の走り方で都内を走ってみたところ、およそ250kmという方がリアルワールドの数字に近いと思った。当然、これはEVだから、静粛性や乗り心地は優れており、重厚感を感じる。ステアリングも多少軽いけど、路面からフィードバックを十分感じるし、ブレーキも回生機能がかなり効いているので、慣れればワンペダルで運転できる。


メーターには充電の残量が表示される

バッテリーの充電は、一般的な出力7.4kWの充電器でおよそ8時間かかる。11kWなら5時間、出力100kWの急速充電を使えば、バッテリーの80%の容量を30分ぐらいで充電できる。多くのユーザーは、一日50km以上走らないだろうから、満充電は一週間ほど持つと思われる。

これは家族向けのクロスオーバーとしてデザインや機能性、走りが高いレベルになっている。価格は429万円とリーズナブルだし、家からそんなに遠く行く必要のないファミリー層にとってグッドチョイスかもしれない。

文=ピーター ライオン

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