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2021.01.24 08:30

アジア市場での成長を目指す自然派コスメ「ロクシタン」

Ben Gabbe/Getty Images

Ben Gabbe/Getty Images

フランスの自然派コスメブランド「ロクシタングループ」は2021年1月14日、高級ブランドのシャネルに長年籍を置いたイヴ・ブルアン(Yves Blouin)をマネージング・ディレクターとして迎えると発表した。この動きではっきりしたのは、同社がアジアに大きな期待をかけていることだ。アジアはここ数カ月で成長の見通しが見込める唯一の地域である。

ブルアンは22年にわたるシャネルでのキャリアを終え、香港証券取引所に上場するロクシタングループのマネージング・ディレクターに1月18日付けで就任した。シャネルで過ごした22年のうちおよそ17年は、中国や日本などアジアのさまざまな部門で指揮をとってきた。2019年までの5年間は、中東とインド部門のマネージング・ディレクターを務めた。

オーガニック栽培された自然な原材料で知られるロクシタングループは、「ロクシタン・プロヴァンスアロマ」や「エレミス」「ライムライフ」など6つのコスメやライフスタイルブランドの親会社だ。販売店は3400店を超える。そのうち1600店は直営店で、90カ国で展開。なかでも米国は最大の市場だが、2021年にはそれが一変する可能性がある。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まった直後から、同社の売上と利益は急減した。2020年9月30日までの半年間で、売上は15%減の6億1700万ユーロ(約774億円)だった。その4分の3を生んでいるのが、看板ブランドの「ロクシタン・プロヴァンスアロマ」だ。一方、営業利益は21%減の3290万ユーロだった。

北米とヨーロッパのなかで最大実績をあげたのは米国とロシアだ。減少幅が最も小さく、それぞれ13%減と11%減だった。米国ではオンライン販売が好調だったが、ロックダウンと移動規制により、「ロクシタン・プロヴァンスアロマ」ブランドの小売り売上高に深刻な影響が及んだ。

一方、アジアでは様相が大きく異なる。香港など一部の市場は大打撃を受けて43%減となった一方で、中国と台湾は健闘し、それぞれ31%と15%の伸びを見せた。

中国ではあらゆる販売チャネルで成長


中国では、実店舗とオンラインショップともに取引が増加した。アリババが運営するECサイト「天猫(Tmall)」での売上もきわめて好調(2桁台半ばの増加)だったが、ライバルECサイト「京東商城(JD.com)」では100%を超える増加となった。さらに、中国に125店舗ある化粧品専門店セフォラでエレミスが販売されるようになったことも幸いした。

ロクシタングループにとっては、多様で複雑なアジア市場をよく知るブルアンの専門知識は有益となる。とりわけ、高成長中の中国と、以前から重要な市場である日本がカギとなる。ブルアンは、シャネルの日本担当ゼネラルマネジャーとして7年間の経験がある。

ロクシタングループ会長で最高経営責任者(CEO)のレイノルド・ガイガー(Reinold Geiger)は、声明で次のように述べた。「ロクシタングループは、店舗の50%近くをアジアで展開しており、ブルアンが持つアジアでの経験と、コスメも扱う世界的な超一流ラグジュアリーブランドで得た幅広い専門知識は、私たちにとって大きな資産となる」

ガイガーは現在、同社の成長と利益率の向上を目指し、コロナ禍で変化した小売需要に合わせて事業の軌道修正を行っている。オンラインへの移行という大きな流れとともに、同社は全世界で50ほどのソーシャル・セリング(ソーシャルメディアを用いて、直接見込み客と交流すること)プロジェクトに着手した。韓国では、メッセージアプリ「カカオトーク」でチャットボットを使ったショッピングサービスを開始し、顧客からの問い合わせに応じている。

中国は、販売が好調だったことを受け、ロクシタン内部での地域別売上高シェアが12カ月で大幅に増加。すでに日本を抜いて2位となっており、年内中に1位の座を米国から奪えそうな好位置につけている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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