ツイッターのトランプ元大統領永久追放から考える「SNSのDX」

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例えばマストドン上に5000個のインスタンスが存在していたとする。「5000個の、ツイッターのようなプラットフォームが緩やかに繋がってる状況」をイメージして欲しい。

そして今回のような事件が起こるとする。仮にトランプが所属するインスタンスをAとすると、Aの管理者が今回の問題を許容すれば、もちろんトランプは排除されない。残りの4999個のインスタンスの管理者は、トランプを許容したAと同意見であれば、Aとの接続を保ち続ける。つまりAを許容したBというインスタンスに所属するユーザーは、引き続きトランプの発言をフォローし続けられる。

一方、許容できないと判断したインスタンスはAとの接続を断つことができる。例えばそのインスタンスがCだとすると、Cのユーザーにはトランプの発言が届かなくなる。

こういった意思決定がそれぞれのインスタンスで起こり、例えばトランプが存在するインスタンスが世界に1000個、存在しないインスタンスが4000個というように分布される。ユーザーはそれぞれが所属するインスタンスの意思決定が気にくわなければ、別のインスタンスに引っ越せばいい(マストドンでは他のインスタンスへユーザーがアカウントを移行させるための機能も提供されている)。

ブロックチェーンを活用したSNSなら解決できる


この、マストドンのような形が理想的ではあるが、確かに文字通り理想論の域を脱せない課題もある。

まずは現状のマストドン自体はクラウドを利用しており、今回アップルやグーグルが特定のアプリを排除したように、サーバー側から停止されてしまうと、そもそもの存在も分散化できているとは言い難い。

さらに課題なのはその意思決定の部分である。発表当初一時的な盛り上がりをみせたマストドンであるが、その意思決定や管理負荷の増大により、残念ながらサービスを終了したインスタンスも多いのが現実である。

そしてこれらの課題を解消できるかもしれないのが、ブロックチェーン技術だ。

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サーバーの問題に関しては、そのアプリケーションをイーサリアムを代表するような幾つかのパブリック・ブロックチェーンに置くことで分散化させることができる。そうすればまず「置き場所」として、特定の思想による圧力や国家の意思決定を超越することが可能となる。

そして管理負荷の問題に関してもブロックチェーン、そしてその上でトークンというインセンティブを活用することで解消の可能性がある。
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文=設楽悠介 編集=石井節子

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