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この1年、特別買収目的会社(SPAC:Special Purpose Acquisition Company、独自の事業を持たず、調達した資金で未公開企業や事業を買収して上場させることを目的とした会社)は、空前のブームに沸いている。2020年の1年間で、SPACは、それまでの10年間の合計を上回る額の資金を集めた。これは、新規株式公開(IPO)による総調達額の約半分に相当する規模だ。2021年に入っても、その勢いはとどまるところを知らない。

これだけ大量の資金が流入しているSPACだが、ターゲット企業の買収を行った後のSPACは、投資家に期待通りのリターンをもたらしているのだろうか?

スタンフォード大学ロースクールのマイケル・クラウスナー(Michael Klausner)と、ニューヨーク大学ロースクールのマイケル・オーロッゲ(Michael Ohlrogge)は、2019年1月から2020年6月にかけて企業買収を実施した47のSPACについて検証した。これは、SPACの中でも比較的新しい部類に属するものだ。

その結果、ターゲット企業の買収後、SPACの株式の価値は、上場時と比べて平均で3分の1が失われることが判明した。とはいえ、この傾向にあてはまらない例外的な事例もあり、こうしたSPACは実際にプラスのリターンをもたらしていた。

2人の研究者は、SPACによる資金調達のコストが高い点に根本的な問題があるという見方を示している。投資資金からは、まず「プロモート(SPACの設立者に報酬として渡される持ち分)」が差し引かれる。これはSPACに関するコストの中でも最もよく知られているもので、たいていは最も大きな割合を占める。だが、他にも考えるべき要素はある。SPACの場合、当初引受手数料は5%前後が相場で、さらにワラント発行のコストが加算される。

SPACでは、企業買収のプロセスの途中で、株式の一部が償還(現金として払い戻されること)されることが多い。だが、仮にそうなった場合でも、今挙げたSPACにまつわるコストの多くは減額されない。これは重要なポイントだ。償還される株式の割合が上昇すると株主の数は減り、残りの株主が、より多くのコスト負担を強いられることになる。

今回の研究では、これらの膨らんだコストが平均的に見るとかなりの障壁となり、買収実施後のSPACが株主に対して、意味あるリターンをもたらすのが難しくなっていることが判明した。

とはいえ、資金調達コストが利益創出の足を引っ張るのは、何もSPACに限った話ではない。今回の研究を行ったクラウスナーとオーロッゲは、IPOにも直接的・間接的なコストがあると指摘する。企業が上場する際に、全く費用のかからない方法は存在しない。とはいえ、平均的に見ると、SPACのコストは高い傾向にある。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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