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「Twelve Seas」の事例にみるSPACの問題点


この研究では、Twelve Seas Investment CompanyというSPACの例が挙げられている。この会社では、償還されていた株式の割合が82%に達していたため、買収によって大幅な希薄化が起きたと研究者は指摘する。買収の遂行に用いられた資金の254%に相当する希薄化だ。

これは間違いなく、全体的に見ればかなり極端な事例だが、償還される株式が増えると、残った株主にとっては大きなコスト負担につながるという、SPACの問題点を示している。

「質の高いSPAC」を見極めるポイントは


このように、全体で見ると残念な数字が並ぶものの、SPACへの投資家にとっては、質に関する見極めを行うと、いくらか助けになる可能性がある。

スポンサーが10億ドル以上の資産を持つ評判の高いファンドの系列で、スポンサー(あるいはSPACの責任者)がフォーチュン500企業の元経営幹部(CEOや社長など)という条件を満たすSPACは、買収後に平均を上回るリターンをもたらす傾向がある。今回の調査に当たった研究者2人は、こうした買収事案を「質の高い(ハイクオリティな)」事案と呼んでいる。

分析対象となった47のSPACのうち、約半分がこの定義に合致していた。このグループのSPACがもたらしたリターンは、買収後の3、6、12カ月間で著しく高かった。とはいえ実際には、この選りすぐりのグループの中でも、半分近くのSPACが投資家に損失を与えている。

さらに、この「質の高い」グループの買収事例は、他のSPACと比べれば良いパフォーマンスをあげているとはいえ、絶対値で見れば、12カ月間のリターンはマイナスとなっている(平均値と中央値で見た実績、およびIPO指数との比較で見た場合)。

ひとつの救いは、このグループでは、リターンの平均値がラッセル2000指数を上回ったことだ。とはいえ、検証対象となったSPACには、買収からまだ12カ月が経っていないものもあるため、このデータは時間の経過と共に変化する可能性がある。この数字からわかるのは、「質が高い」とされるグループのリターンが絶対評価で良好なわけではなく、あくまで他のSPACとの比較では明確な差があり、「悪い中ではまだマシ」ということだ。

研究から導き出される結論は


今回の研究結果は、SPAC投資家にとっては励みになるものとは言えない。質の高いSPACに、より厳選して投資することで、リターンが改善する可能性があることは、今回の研究で判明した。とはいえ、たとえ強力な買収候補が見つかったとしても、SPACに内在するコストを差し引いた上で、プラスのリターンを得るのは難しそうだ。

上場するSPACの数が増加を続け、市場がより競争的になるなかで、質が高いとされるSPACが意味のあるリターンをもたらすことができるかという問題は興味深いものになるだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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