メディアインテリジェンス企業のジグナル・ラボ(ZignalLabs)によると、「Third Party(第三政党)」「New Party(新党)」、「Patriot Party(愛国者党)」などの検索数は、19、20の両日に急増していた(「愛国者党」の名称は、トランプ前大統領が党名として検討しているものとされる)。
また、ツイッター上に開設された愛国者党のアカウントは、20日までにフォロワーが約9万5000に達し、フェイスブックの同名のページには、約1万6000の「いいね!」が付けられている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは19日、トランプは新党の結成を検討しているもようだと報じた。消息筋が同紙に明らかにしたとろによると、そうした構想についてトランプが口にし始めたのは、1月中旬以降。支持者らが6日に議会議事堂で起こした暴動を「扇動した」として、複数の共和党議員から批判を受けたことがきっかけとされている。
共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)も、「暴徒を挑発したのはトランプだ」と明言している。
オンライン上では前大統領の支持者の間で、数週間前から新党の結成を求める声が上がっていた。トランプは彼らの投稿から、「愛国者党」という新党の名称に関するアイデアを得たのかもしれない。
ソーシャルメディアを通じて積極的に発言している極右のリン・ウッドやジェームズ・ウッズなどは、「愛国者党」のロゴのデザイン案を制作。オンラインで公開している。
一方、共和党の著名議員ら数人は20日、トランプによる新党の立ち上げは2022年の中間選挙を前に、共和党を分裂させるだけだと主張。結党の構想を非難している。
Foxニュースのインタビューで「愛国者党」に関するうわさについて尋ねられた共和党の重鎮リンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州)は、トランプがそのような行動に出ないことを願っているとコメント。「彼には共和党のリーダーでいてほしい」と語った。
保守派の著名なコメンテーター、ダン・ボンジーノも自身のラジオ番組で、トランプによる新党結成のアイデアに否定的な見方を示している。
「第三の」政党
第三政党の候補による大統領選への出馬は、これまですべて失敗に終わっている。セオドア・ルーズベルト元大統領(共和党)は1912年、「進歩党(ブル・ムース党、オスのヘラジカの意味)」を結成。
再選を目指していた共和党のウィリアム・ハワード・タフトと、民主党のウッドロー・ウィルソンと闘ったが、ルーズベルトとタフトが票を奪い合ったことが、ウィルソンの勝利を確実にした。
また、2016年の大統領選でもわずかながら、第三政党の候補が民主党のヒラリー・クリントン候補の得票に影響を及ぼし、トランプの勝利につながった。
「戻ってくる」
トランプは20日、フロリダ州に向かう前に首都ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地で演説。集まった人たちを前に、「私たちはいずれかの形で戻ってくる」との言葉を残している。