19日午後4時30分(米東部時間)時点で、イーサリアムの通貨であるイーサの価格は過去24時間で約14%の急騰となり約1400ドルをつけた。CoinMarketCapのデータによると、イーサの価格はこの数時間前に、2018年1月に記録した史上最高値の約1433ドルを突破しており、時価総額は24時間で200億ドルも上昇し、現在は約1600億ドル(約16.6兆円)となっている。
この1週間でイーサの価格は28%以上も急騰したが、ビットコインの価格は先日の急落後にわずか5%ほど反発したのみで、ピーク時と比べると10%オフとなっている。
イーサの急騰は、DeFiと呼ばれるブロックチェーン上の分散型金融(Decentralized Finance)市場の、爆発的成長によって引き起こされたとMyEtherWallet のCOOのブライアン・ノートンは述べている。DeFiの預かり資産(TVL:total value locked)は今年2月時点で約10億ドルだったが、現在はその約20倍の205億ドル(約2.1兆円)に膨らんでいるという。
ノートンはさらに、「イーサリアムの開発者数はビットコインの5倍以上に達しており、連日、開発者が増え続けている」と付け加え、開発者のアクティビティの増加がネイティブ・トークンの需要に拍車をかけていると指摘した。
Oandaのアナリストのエドワード・モヤは19日、「ビットコインの価格は本日上昇したが、そのパフォーマンスはイーサやライトコインなどのライバルを完全に下回っている。しかし、規制当局からの警告の高まりにも関わらず、進行中のインフレ圧力が、広範囲なクリプト市場を上昇させ続けている」と述べた。
ジョー・バイデン次期大統領が財務長官に指名したジャネット・イエレンは19日の指名承認公聴会で、仮想通貨が「ハイテク・テロリストに利用されることを特別に懸念している」と述べ、この分野の規制強化を呼びかけた。
ここ最近の仮想通貨市場の大規模な上昇の背景には、インフレ懸念と機関投資家たちの参入があるとされていたが、11日に急落が起こった。英紙タイムズの日曜版が、HSBCを含む英国の大手銀行が、仮想通貨のウォレットからの送金を禁止すると報じたのを受けて、仮想通貨の時価総額は、ピーク時の1.1兆ドルから9000億ドルに急落し、現在は1兆ドルをわずかに上回る水準となっている。