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写真左からサラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、クリスティン・デイヴィス、キム・キャトラル(Getty Images)

日本でも熱狂的なファンを持つドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」が戻ってきます。

新シリーズに顔を揃えたのは、キャリーを演じるサラ・ジェシカ・パーカー、ミランダ役のシンシア・ニクソン、シャーロット役のクリスティン・デイヴィスの3人だけ。もう1人のオリジナルキャストであったサマンサ役のキム・キャトラルの名前はありませんでした。

企画発表の段階からすでに波乱含みの話題が提供されているその背景には、アメリカで勃発している映像サブスクリプションサービス戦争に端を発したトレンド事情が見え隠れしているのです。

サマンサ不在で50代の恋愛事情を描く新作


ニューヨークに暮らす4人の独身女性たちの恋愛やセックスの本音を赤裸々かつユーモアを交えて描いたSATCは、アメリカのケーブルテレビ局HBOで、1998年から2008年まで6シーズンにわたって放送された人気ドラマシリーズです。

テレビ界の最高峰の栄誉とされるエミー賞では、2001年にコメディ・シリーズ部門の最優秀作品賞を受賞しています。また、続編の扱いで、2008年と2010年には、劇場用映画も製作されました。

当時のHBOは、いまで言うネットフリックスのような新進的な存在で、SATCはケーブルテレビ局のオリジナルコンテンツの地位向上にも大いに貢献したドラマシリーズでもあったのです。

新シリーズのタイトルは「And Just Like That...」(そして、ただそんなふうに)。1話30分で全10話を予定しており、50代を迎えたキャリー、ミランダ、シャーロット「3人」の恋愛事情が描かれます。

前述のように、サラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、クリスティン・デイヴィスの3人は続投、今春ニューヨークでクランクインすることが明らかにされた一方で、キム・キャトラルの不在が決定的に。これまでのシリーズの4人のなかで最も奔放な恋愛観の持ち主だった「サマンサ姐さん」がいないことに一部のファンは愕然。筆者もがっかりした1人です。

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サマンサ役のキム・キャトラル(左)は出演しないことが明らかになっている(Getty Images)

ただし、これは予想できたことでもありました。2014年フランスのカンヌで開かれた世界最大の国際テレビ番組見本市「MIPCOM」で、キャトラルが主演およびエグゼクティブプロデューサーをつとめたドラマ「Sensitive Skin」を売り込んでいた際に、SATCの再出演をやんわりと否定する彼女の発言を、筆者は現地取材で耳にしていました。

さらに劇場用映画の第3作目が、キャトラルの意向によって製作中止になったことで決定的に。かねてから噂され続けている主演のパーカーとの確執問題もあり、今回のキャトラル抜きの「And Just Like That...」は、強行突破の企画であるという印象は否めません。

また、キャトラルばかりか、オリジナルシリーズのクリエイターであったダレン・スターも、新作に関与していないことをアメリカのエンターテイメント各誌が報じています。

とはいえ、オリジナルシリーズの監督と劇場用映画の脚本と監督を務めたマイケル・パトリック・キングは引き続き新シリーズを手掛けることが決定しています。シリーズの肝であった「痛快さ」を失わない脚本で、どうか劇場用映画の2作目のような駄作になることだけは避けて欲しいと願うばかりです。

文=長谷川朋子

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