「SATC」続編は波乱の幕開け リブート急増の裏にあるストリーミング戦争

写真左からサラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、クリスティン・デイヴィス、キム・キャトラル(Getty Images)


今回のSATCのリブート版も、この流れからHBO MAXの目玉企画となっています。HBO MAXでは、このほか過去の2大人気コンテンツである「ゴシップガール」と「プリティ・リトル・ライアーズ」のリブート版も予定しています。
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とにかくこのところのHBO MAXの攻めっぷりは、なかなかのもの。今年配信の全作品を劇場とHBO MAXで同時に上映する計画も発表されています。後半には、ヨーロッパとラテンアメリカでHBO MAXをローンチさせ、最終的にはネットフリックスに並ぶ190カ国でのサービス展開していく計画です。

原作者の新作刊行もリブートの追い風に


「ビバヒル」のリブート版は不評に終わりましたが、サブスクオリジナルで企画されたリブート版が実際に成功を生み出している例も多くあります。Disney+の「スター・ウォーズ」初の実写ドラマシリーズ「マンダロリアン」がその好例に当てはまります。

また、空手ブームに火をつけた80年代のヒット青春映画「ベスト・キッド」のリブート版「コブラ会」も大成功を収めています。「コブラ会」は理想的なリブートとも言えるもので、オリジナルの俳優が仲良く揃ってそのまま続投し、ダニエル・ラルーソー役をラルフ・マッチオが、ジョニー・ロレンス役をウィリアム・ザブカが演じ、1984年の少年カラテ選手権大会から30年後の世界を描いています。
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「コブラ会」でダニエル・ラルーソー役を演じるラルフ・マッチオ(左)とジョニー・ロレンス役を演じるウィリアム・ザブカ(右)(Getty Images)

当初「コブラ会」が配信されたのはYouTube Red(現在の名称はYouTubeプレミアム)でしたが、YouTubeの戦略方針変更から現在はネットフリックスに移りました。その過程では複数のサブスク事業者から熱いラブコールを受けた入札合戦が行われていました。価値のあるリブートは強力なコンテンツであることがわかる話です。

SATCのリブートもどんな作品になるのか気になるところです。船出は波乱含みでありながら、絶対的な強みとなりそうなのが、オリジナルの原作者であるキャンディス・ブシュネルが上梓した新作「Is there still SEX IN THE CITY?(25年後のセックス・アンド・ザ・シティ)」の存在です。

そのなかで語られるエピソードは、50代独身女性のマッチングアプリでの初「ティンダーデート」や、膣のアンチエイジング「モナリザトリートメント」など、視聴者を惹きつける興味深い枯れない生き方が描かれています。新たなシリーズには、どのように生かされるのか、いまから楽しみです。激しいストリーミング戦争の真っ只中でスタートするドラマの意地も見せて欲しいものです。

連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今

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文=長谷川朋子

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