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グローバル企業トップに「マイノリティ側」が多い理由


阪原:前回は、子どもや若者への教育の大切さについて話をしてきましたが、大人になってから自分の軸を持つのはどうしたらよいと思いますか?

永田:僕の考えでは、やり方はふたつあります。ひとつはマイノリティ経験。マイノリティな人生を歩んでみることです。今の居場所から離れ、マイノリティ側に立ってみる。マイノリティになると、「自分はなぜほかのみんなと違うんだろう」と、自問自答を繰り返すことになります。すると、自然に自分の軸ができてきます。

阪原:自ら望んでマイノリティになるということですね。

永田:自問自答をするから、自分のアイデンティティを一生懸命作らなければいけない。焦燥感にも駆られるし、プレッシャーもかかってきます。それで気づいたときには自分の軸ができてくる。私はこれまで多数のグローバル・ビジネスの経営者のコーチングをしてきましたが、グローバル企業のトップはマイノリティ側の方がとても多い。たとえば、典型的なフランス企業のトップが、フランス人じゃないというケースもよくあります。また、典型的なエリートコースを通ってきていない方がすばらしい実績をあげるケースが多い。

阪原:そういう人たちは、ムダとか無理とか、歪なシステムがよく見えるのかもしれませんね。

永田:そうなんですよ。逆に核心をついた意味のないところが見える。

阪原:簡単にマイノリティ側に立つひとつのやり方としては、海外に行くことですね。たとえば、トヨタ自動車社長の奥田碩さんは、一度フィリピンで焦げ付いたお金を回収する任につくため、フィリピンに行っていますね。御手洗冨士夫さんもキャノンにいたときに、アメリカに行っていました。

永田:たとえば、僕もコーチしたPSAグループ(プジョー・シトロエン)CEOのカルロス・タバレス氏もそうです。ポルトガルで生まれ育ち、17歳でフランスに渡り一流エンジニア教育大学を卒業です。おまけにレースカーのパイロットです。日産本社・アメリカの役員、ルノーのCOO時代にゴーンと袂を分かちPSAのトップです。まさに世界を股にかけマイノリティ人生を歩んでいるような人です。

阪原:たとえば男性がふたりしかいない空間で育つと女性を知らない。そこでの問題は、女性を知らないということではありません。自分たちが男性だという認識を持てないことです。つまり、異質なものに向き合うことで自分を理解できるということですね。だから僕は、たとえば留学するなどして、異質なものに向き合いなさいと若い人にも言うことがあります。

永田:実は私が言いたかったふたつ目のポイントもそこです。ふたつ目は海外に行くこと。多様な世界を知るということですよね。海外に行くと戦わざるを得ませんからね。つまり、マイノリティ体験とグローバル体験が必要だというのが僕の考えです。異質なものと触れ合うことで何が得られるかというと、「文化的なコンフォートゾーン」が広がるのです。たとえば単身海外に行き、海外の人といっしょに笑ったり泣いたり戦ったりしていくことで、これは広げられます。

文=阪原淳

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