「正解がない」入試記述問題に強い子に育てるとき、『哲学』が効く理由

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永田:もうひとつ。世の中はどんどん変わっていくし、変化のスピードも速くなっている。誰も予測できなかった世界に変わりつつあります。そのようななかでは、考えたことをとりあえずやってみることがすごく大事になってくるのではないでしょうか。そのためには、フランスで教育されるような、「自分の軸」を作る教育なのかなと思います。

阪原:「自分の軸」を作るために哲学的な思考が大切ということですね。また、いろいろな人と話したり議論したりすることが必要ですね。

永田:フランスには「キャフェ(カフェ)」という文化があります。19世紀の小説家バルザックが、「キャフェというのは庶民の国会だ」と言っているわけです。要はいろんな人が集まって議論している場だということです。そういう場の中からいろんな思想が生まれたり、いろんな芸術が生まれたりしてきたのではないでしょうか。

阪原:パリには世界中から多様な人が集まっていましたね。モンマルトルの丘にカフェがたくさんありますが、19世紀から20世紀にかけて、そこにはピカソやマティスなど個性を持った多くの芸術家の卵が集まっていた。カフェで人と話すことで自分の個性が認識できるし、他人の個性をリスペクトできた。だからフランスでは芸術や文化が花開いたのでしょう。もちろん、アメリカが強いのもいろんな多様な人がいるから、いろんな自己認識が深まるし、社会に対する認識も深まりますよね。




阪原淳(さかはら・あつし)◎京都大学経済学部卒、電通を経て、カリフォルニア大学バークレー校にてMBA取得後、シリコンバレーのベンチャー企業へ。その時、MBA時代にプロデューサーとして参加した映画がカンヌ映画祭短編部門でパルム・ドール賞受賞、帰国。経営技術の普及活動に取り組む。著書に『直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)、『小さくても勝てます』(ダイヤモンド社)ほか。初長編監督作品のドキュメンタリー映画『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』は3月20日に劇場公開を予定。現在は、明治大学サービス創新研究所客員研究員、京都精華大学英語担当非常勤講師。



永田公彦(ながた・きみひこ)◎Nagata Global Partners代表パートナー、フランス国立東洋言語文化学院非常勤講師。フランスを拠点に、フォーチュン・グローバル500企業をはじめ数多くの欧州企業(一部アジア系企業)に対し、国際経営・事業・組織コンサルティングをおこなう。日本経済新聞レギュラーコラムニスト(ネット版07-10年)、講演・出稿記事多数、リヨン第二大学非常勤講師(アジア経済・経営修士コース 98‐00 年)、北九州市立大学特任教授(グローバル人材育成教育13‐16年)、パリ第9大学非常勤講師(異文化マネジメント修士14-19年)を歴任。オフィシャルサイト:http://www.nagata-gp.com

文=阪原淳

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