スペースX、火星への発射拠点を「フォボスとデイモス」と命名か

Starship SN8 (c) SpaceX

スペースXは、将来の火星ミッションでのスターシップの打ち上げと着陸に用いるために、2つの施設を購入し、それらに火星の衛星と同じ「フォボス」と「デイモス」という名前を与えた模様だ。

スターシップは、一度に最大100人を火星に運ぶために設計されたスペースXの次世代の完全再使用型の宇宙船だ。この宇宙船のプロトタイプは、テキサス州ボカチカの施設で開発されており、先月は、SN8と呼ばれる機体の高高度無人飛行試験が実施されていた。

スペースXは、以前からスターシップの打ち上げと着陸の試験を、海洋プラットフォーム上で実施してきたが、打ち上げ写真家のジャック・ベイヤーは、テキサス州のブラウンズビル港に、デイモスという名前のオイルリグ(石油掘削施設)があるのを発見した。さらに、もう一つの施設にはフォボスという名が付けられているという。

「私の仕事上の知識と、マスクのツイートから考えて、これらがスペースXの施設であることに賭けたい」とベイヤーは1月19日、ツイッターに投稿した。

その後、ウェブサイトNASASpaceflight.comのマイケル・ベイラーがこの2つのオイルリグが、それぞれ350万ドルでスペースXによって購入されたことを突き止めた。フォボスとデイモスという名がつけられたのは、2020年9月のことという。

これらのオイルリグは昨年、スペースXのCFOであるブレット・ジョンセンが関連する企業のLone Star Mineral Development LLCによって購入されていた。フォーブスは、スペースXにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

しかし、スペースXが2つのオイルリグを購入し、火星にちなんだ名前をつけた可能性は十分にありそうだ。イーロン・マスクは、以前にもスペースXの施設に、珍しい名前をつけていた。例えば、ファルコン9の海上着陸に使用される浮体式バージは、「Just Read The Instructions」と「Of Course I Still Love You」と呼ばれているが、これはSF作家のイアン・M・バンクスの小説に出てくる宇宙船にちなんだ名前だ。

これらのオイルリグが本当にスペースXの施設なのであれば、スターシップの打ち上げや着陸に備えて、間もなく改装が始まる可能性が高い。さらに、これまでのスペースXの活動と同様に、多くの熱心な観客たちの注目を集めることになるだろう。

編集=上田裕資

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