新型コロナウイルスの流行により、パスポートが持つ力はもはやその国の発展度だけではなく、粗末な意思決定や選挙結果によってわずか数カ月の間に変わる可能性があることが露呈した。これは昨年、投資を通じて2つ目のパスポートを取得しようとした米国人が相次いだことや、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に伴い多くの英国人がEU加盟国のパスポート取得に動いたことからも明らかだ。
新型コロナウイルスの流行により、場所を問わない働き方が普及したことで、米国人や英国人は2つ目のパスポートを持てばこれまで手にしていた移動の自由を維持できることが示された。興味深いことに、2021年の世界最強パスポートに選ばれたのは、二重国籍が許されていない日本だ。世界では日本以外にも二重国籍を認めない国が約50ある。
世界「最強」のパスポート
今年のヘンリーパスポート指数で、上位10位に入った国は次の通り。なお、新型コロナウイルス流行を受けた一時的な入国制限は考慮されていない。かっこ内の数字は、ビザなしで入国できる国や地域の数だ。
1位 日本(191)
2位 シンガポール(190)
3位 韓国、ドイツ(189)
4位 イタリア、フィンランド、スペイン、ルクセンブルク(188)
5位 デンマーク、オーストリア(187)
6位 スウェーデン、フランス、ポルトガル、オランダ、アイルランド(186)
7位 スイス、米国、英国、ノルウェー、ベルギー、ニュージーランド(185)
8位 ギリシャ、マルタ、チェコ、オーストラリア(184)
9位 カナダ(183)
10位 ハンガリー(182)
16年前に始まったヘンリーパスポート指数では当初、欧米諸国が上位を占めていた。しかし現在では、アジア太平洋地域の国々が上位に入るようになっている。米国はここ7年間で首位から7位に陥落。英国のパスポートも年々力を弱めている。一方で日本は、4年連続で首位に立った。(2019年はシンガポールとの首位タイ)