発達障害の息子を東大に入れたシングルマザー 子育ての基本は「堂々と公にする」こと

発達障害を持つ息子・大夢さん(左)と母・菊地ユキさん(右)(本がすき。より)。


<そこで、私はこう言ったんです。

「あ、いいですよ。ぜんぜん恥ずかしいことでもないし、大夢が悪いことしたわけでもないですから。皆に教えてやってください。ただ『大夢はADHDだから』と言っても、小学生ではわけわからないと思いますから。『大夢は頭のネジが何本か足りない子なんだって』と、そう教えてあげてください」>(本書より)

また、本書では、このとき対応した担任教諭が、当時を振り返って次のようなコメントも寄せている。

<でも、私は大夢くんのお母さんは、本当に強い人だな、強い母親だな、と感心していました。なぜなら、発達障害という診断結果を、私たち教師にはもちろんのこと、PTAの会合でほかのお母さんがたにも、「うちの大夢には、このような障害があります」と、堂々と公表したからです。(中略)お母さんが大夢くんに診断を受けさせて、それを学校や父兄に報告、公表されたことで、私たち教師や学校は、大夢くんが学校生活を有意義に過ごせるよう配慮することが可能になりました>(本書より)

さらに、母親のこの堂々とした行為が、級友が大夢くんを受け入れる土壌になったと、担任教諭は語るのだ。

<また、クラスの子供たちも、ちょっと突飛な行動をたびたびする大夢くんのことを、少々変わった個性の持ち主として認め、「大夢は大夢だから」と、クラスの一員として受け入れました。それもこれも、お母さんが診断結果を堂々と公にした、その結果だと思います。>(本書より)

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Getty Images

どんな子にも通ずる「子育て法の基本」


もちろん、「発達障害児」の特性は千差万別で、その対応方法もひとくくりには決してできない。だが、少なくとも菊地さんがとった、この「息子の診断結果を公表する」という方法は、多くの同じような子供にとっても有意義なのではないか。

そしてそれは、なにも障害の有る子供に限ったことではない。

わが子としっかり向き合い、わが子が置かれている状況を理解し、わが子の特性をまずは親がしっかりと受け止める。そして、さらに、そこで得たわが子の情報を、学校や周囲の人たちと共有する──。

これは、学齢期の子を持つ親なら、誰もが取り入れるべき子育て法の基本なのかもしれない。

(この記事は、菊地ユキ著『発達障害で生まれてくれてありがとう』から編集・引用したものです)

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