課題は上半身の自己演出。新ビジネススタイルの腕時計様式とは

リンクトイン日本代表 村上 臣


腕時計は使ってあげる


そんな村上さんは現在、機械式の腕時計を5本所有しているという。

「いま着けているセイコー『プレザージュ』 とジャガー・ルクルト『レベルソ』、オーデマ ピゲ『ロイヤル オーク』、シャネル『J12』にロレックスも持っています。これくらいの本数がちょうどいいかな、と思います。これを超えると使ってあげられないモデルが出てきて、時計がかわいそうになっちゃうんです。持ってるものはちゃんと使いたいので、定期的にオーバーホールにも出しますし」


オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」。ラグジュアリー・スポーツウォッチというカテゴリーの先駆的モデル。ベゼルが8角形をしており、そのベゼルには裏蓋まで貫通する8本のビスが特徴。村上さんにとってヤフーの執行役員になった際に購入した記念の1本だ。


ジャガー・ルクルト「レベルソ・デュオ」。アールデコの美学が息づく美しいデザインの時計は、当時上流階級の間で盛んに行われていたポロ競技用に製作されたスポーツウォッチだった。村上さんが所有のモデルは、回転するともう一つのダイヤルが現れる“デュオ”。第2時間帯がわかるので、海外出張の必需品なのだそうだ。

そして、最後に今後欲しい腕時計は何かと問うと、即答してくれた。

「ずっと、パテック フィリップの『ノーチラス・トラベルタイム』が欲しいと思ってます。僕がいまの会社に入るきっかけになった現在の会長が、まさにノーチラスのトラベルタイムを持っているんですよ。面接の時はその話ばかりしてました。 すでに夢の時計として目をつけてましたので。でも、まだ自分には早いです。いまの会社である程度実績を残して、次のキャリアで何か成果を出したら、記念に買おうかな、と思っています」


パテック フィリップ「ノーチラス・ トラベルタイム・クロノグラフ」。異なる2つのタイムゾーンを同時に表示するデュアルタイム機能を、クロノグラフに融合したモデル。しかも、同軸に同じ形の針が2本配されおり、ひと目で2つの時間が読み取れる優れものである。

そうやって、あらためて話をしているうちに「腕時計は人生の節目に購入してる」と気づいた村上さん。彼にとって腕時計は、ファッションアイテムであり、記念の品でもあったのだ。この様子では5本のローテーションで収まりきらないのは明白だろう。

村上さんと話をしていると、やはり腕時計は素敵だし、楽しいものであると確信できた。これからも変わらずに、毎年新しいモデルが誕生していく。今後も素晴らしい腕時計に出合えることに期待したい。

村上 臣◎大学在学中に電脳隊を設立。2000年ヤフーに入社。一度退職するが、12年にヤフーの執行役員兼CMOに就任。17年リンクトインの日本代表に就任。複数の企業で戦略・技術顧問を務める。

edit by Ryoj i Fukutome | photograph by Yu Mitamura

この記事は 「Forbes JAPAN No.077 2021年1月号(2020/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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