同社が今月13日に発表した報告書『エデルマン・トラスト・バロメーター2021』によると、世界的な傾向として、人々から倫理的かつ有能だとみなされる組織は企業のみとなっている。調査は日本を含む28カ国の3万3000人を対象に、昨年10月19日から11月18日にかけて行われた。
人々は自国の政治家に幻滅し、政府よりもビジネスリーダーの声に耳を傾けるようになっている。調査では、回答者の80%以上が、新型コロナウイルス流行の影響や地域社会の懸念、仕事の自動化などの社会問題について、企業の最高経営責任者(CEO)が公に発言することを期待していると答えた。また約56%は、人間の労働者が人工知能(AI)やロボットに置き換えられる動きが新型コロナウイルス流行により加速すると考えている。
エデルマンのデイブ・サムソン副会長(企業業務担当)は「現在、CEOが埋めねばならないリーダーシップの空白がある」と指摘。ペンシルベニア大学ウォートン校のモーリス・シュバイツァー教授は、CEOが声を上げる傾向は好ましいものだとし、「米政界でのリーダーシップの空白」を受けてビジネスリーダーが前面へ出てきていると説明した。
これは競争の観点からも理に適っている。フェイスブックやグーグルなどの企業は有能な人材を奪い合っており、高度な技能を有する人たちは自分と価値観が同じ企業で働きたいと考えているからだ。「今は新たな領域へ入っている。企業の社会に対するエンゲージメントが、前代未聞の水準に達している」とシュバイツァー教授。「私たちが企業に対して期待しているのは、責任を取り、コミュニティーへの関心を持ち、ただ利益を追求するだけでなく幅広い価値観を持つことだ」