個人用高級品市場の売上高にe-コマースが占める割合は昨年、2019年の12%から23%に倍増。さらに、e-コマースは2025年には、高級品の流通チャネルにおける主流となり、売上高に占める割合は30%になると予想されている。そのためソーシャルメディアは、どの高級ブランドのオンライン販売戦略においても、不可欠な存在となってきた。
だが、高級ブランドや関連企業の幹部およそ500人を対象とした過去3年の調査結果をみると、ソーシャルメディアの効果は各社の期待を大幅に下回ってきたことが分かる。
SNSは期待外れ?
ソーシャルメディアに関するボッテガ・ヴェネタの決断は、業界のトレンドの先駆けとなるのかもしれない。そう考える理由は、次の点にある。
最新の調査では、高級品・サービスを提供する企業にとって、最もパフォーマンスが良いソーシャルメディア・チャネルとされているのはインスタグラムだ。だが、このプラットフォームを利用しているこれらの企業のうち、「非常に効果的だ」と考えているのはわずか30%にとどまる。
フェイスブックを同様に評価している企業は、およそ16%。ピンタレストとユーチューブについて同様の見方を示しているのは、それぞれ9%、8%となっている。ツイッター、スナップチャット、ウィーチャット、ティックトックは、数値を示すことが難しいほど少ない割合だという。
さらに、これらに対する評価は過去3年間、一貫して低い水準にとどまっている。回答者のコメントのなかには、「これまでのところ、何の効果ももたらしていない」と指摘するものもある。
ソーシャルメディアは「マス向け」
ソーシャルメディアに対する見方は、高級ブランドとそれらにサービスを提供する広告代理店、マーケティング会社の間で大きく異なっている。代理店などにとって、効果を見る基準はトラフィックや「いいね!」、シェアされる回数だ。だが、ブランドにとっての“効果”は、ソーシャルメディアを通じて得られる売上高だ。